年に一度、1月1日を基準日として課税されるのが固定資産税。土地や建物を購入すると、必ず登記が伴って、新たに家を保存や移転登記する必要があります。
登記費用は決して安くありませんし、手続きをする専門家(司法書士)に依頼しなければなりません。面倒に感じるでしょうが、「自分の所有不動産」か否かを証明するために無くてはならないものなのです。
固定資産税は、市町村が固定資産税台帳と登記簿を元に所有の有無を確認して課税者を確定します。
もし、登記をしていなかったらどうなるか?固定資産税と所有にまつわる問題を紹介しましょう。
○実家の相続にまつわる問題と登記
マイホームを購入する以外に、自分の実家を相続して住まいを手にする人もいるでしょう。このとき、親兄弟との間ですんなりと話が進まない原因となりがちな相続問題。
親族が大人同士なら、生活拠点としての家を既に所有している場合もあり、実家の相続をどうするか、頭を悩ませる人も少なくありません。
相続物件の扱いには、登記と固定資産税台帳の所有者を引き継ぐ代表者を届け出る通知書が届き、実際に亡くなった所有者の代わりに「固定資産税払ってください」と納付書が届きます。
●固定資産税を払い続けて所有者になれない?
土地と建物は取引の相手がいなければ売却処分ができません。そして、相続をするときに「土地だけもらう」「建物が要る」「あいつだけ不動産もらうなんて認めない」など、お金に換算して問題化しがちです。
ただ、相続税は現金納付が原則。不動産をもらってもお金で相続税を納付するのが負担になり、処分するにしても、その割合でもめることが多く、処分すらできない状況が続きます。
ただ、もめている間も自治体は固定資産税を徴収します。相続代表者に対して、固定資産税の支払いを求めてきますが、固定資産税を払うことと所有者になることは全く別問題です。税金を納める人=所有者、ではありません。
●固定資産税を滞納したら勝手に登記される?
納付した税額がかさめば相続の問題も広がります。割合で固定資産税を払うとしても、その割合でもめれば納付ができませんね。問題を先送りして税金を滞納すると、法定相続分で代位登記される可能性もあります。
こうなると、登記が完了した状態になり、相続の話し合いとは無関係にことを進めざるを得なくなります。
いずれにしても、固定資産税は滞納せずにキチンと納付することが望ましいのです。そして、不動産や税金で問題となるようなことがらは、できるだけ円満に、そして早期に決着をつけて日常生活をリスタートさせたほうがいいといえるでしょう。
納税で問題となるような事柄は長引かせないのが賢明です。
【著 者 長 岡 利 和】