マイホームを購入するときには問題にならなかった家庭の事情。例えば、「返済の当てにしていた仕事を辞めてしまった、会社が倒産して収入がなくなった…」などの理由で、当初の計画通りに住宅ローンが払えない事態に陥る人も少なくありません。
収入が減る、出費が増えるということは、当然におこりうる問題です。ただ、住宅ローンが払えなくなった(なりそうな)時には、マイホームを即手放さねばならないと思い込ますに、できうる対策をとりましょう。
○住宅ローンが払えない時は早めに相談を
支払いができないという事実は、その人や家族に大きな精神的ダメージを与えます。そして、自分たちでどうにかする方法をまず考え始めます。
ローンが払えないことを恥ずかしいと感じて、人に知られたくないという気持ちもわかりますが、まずは住宅ローンの返済について相談をすることが大切です。
●マイホームのために借金を繰り返さない
収入が減ったり、仕事が数ヶ月途絶えたりした場合、「当面の返済をどうにかしのげればマイホームは手放さなくて済む」と考えてはいけません。身内や知り合いを頼るうちはまだいいのですが、今では気軽に現金の借り入れをすることができる金融会社もあります。
ほんの数回分だけ…と借り入れを繰り返す予兆は、マイホームローンだけではなく、その後の生活事態を破綻させてしまう可能性もありますので、住宅ローンを払うための借金はお勧めしません。
●住宅ローンの借り換えを検討する
毎月のローン返済額が全体の出費割合からみて高い場合、ライフステージの変わり目だけでなく、日常的な消費やわずかに大きな支出ですら、ローンが払えないきっかけになってしまいます。
ローン審査をしたときから事情が変わり、返済金額や期間を見直したいと思ったときは、金融機関に相談をしておくべきでしょう。ただし、新たに申し込みをする金融機関がローン審査を行いますので、従前の住宅ローン返済の遅延など、信用情報に事故が無い場合に有効です。
相談時のローン金利が、購入時よりも低い場合には、借り換えも検討してみましょう。以前よりも低い金利で住宅ローンの借り換えを行うと、金利上乗せ分がカットされ、元金に充当することができます。
○ローンが払えないなら売却も前向きに
抵当権付のマイホームだから、売れないのではないかという先入観を抱いている人もいますが、ローン返済中の住宅だから売れないということはありません。
また、資産価値や売却価格、契約などによる条件もその時々で発生することがあるかも知れませんが、ローンが払えないから売却処分も金融機関に一任しなければならないという決まりもありません。
せっかく買ったマイホームですが、実際にローンの支払いが困難ならば賃貸物件で生活するという冷静な目と勇断も必要です。
マイホームを持っていることに対する思い入れや、手放すときの周囲の状況を考えるとためらう気持ちも察します。しかし、何よりマイホームを守るのではなく、その後の家族の生活を守る(安定させる)ということを一番に考えて、一時的な無茶や無理を重ねないようにしましょう。
【著 者 長 岡 利 和】