税金の種類はたくさんありますが、家や土地などの不動産を所有している人は、購入時から多くの名目で税金を支払っています。契約時や登記の申請を行うときに必要となる収入印紙も、国に対して納める税金の一種ですね。
購入した後に、かかってくるのが固定資産税です。購入するときに支払う税額は、契約上の購入価格によって異なりますが、固定資産税はその不動産自体の価値によって税額が変わってきます。
○固定資産税の算出方法
税額を決めるのは、固定資産税評価額(課税標準額)です。課税対象となる不動産の価値を割り出し、それに一定の税率を乗じて計算します。
●固定資産税の税率は
固定資産税そのものは市町村税(地方税)ですが、全国的に1.4パーセントという税率を掛けて算定します。
ただ、税制上特段の事情等がある場合など、各自治体によっては1.7パーセントを超えない範囲で税率を引き上げることができるものとしています。
実際に固定資産税率を上げるためには、議会に諮り、納税者に対して意見聴取をおこなうという手続きを踏んで決定しなければなりません。よって、市町村の一存で引き上げることはなく、おおむね全国1.4パーセント一律だと考えてよいでしょう。
○住宅用の土地に対する固定資産税軽減
土地を所有していれば、もちろん建物と同じように固定資産税を支払うことになりますが、その土地を住宅用地として利用している場合は、税額を軽くするための措置が取られています。
住宅用地は、一戸あたり200平方メートル以下の小規模住宅用地と、200平方メートル以上且つ家屋床面積の10倍までの部分となる一般住宅用地に大別し、それぞれ価格の6分の1、3分の1に課税標準額を軽減します。
○土地の固定資産税標準額を決めるのは
土地は、その周辺の開発や道路事情によって価値が大きく変わります。同じ土地を所有し続けていても、固定資産税額が変わるのはそのためです。
建物は減価償却して、そのものの価値自体が下がるため、所有年数が長くなれば次第に固定資産税額が減っていきます。土地は減価償却という概念はありませんから、次第にその価値が下がるということはありません。
●土地の評価は路線価基準
土地が面している道路沿いに評価をつけ、その道路に隣接している土地の価値を算定する方法で評価が決まります。この路線価は毎年変わり、7月1日に国税局や税務署が公表します。
ただ、毎年変わる路線価にあわせて、すべての土地固定資産税の算定をやり直すのは非常に大変です。そこで、固定資産税の土地評価は3年に1度行われます。
3年ごとの評価替えをして、評価年以後2年は、開発が進んで路線価に変動があっても従前の固定資産評価を引き継ぐことになります。
土地の評価は、固定資産税に大きく影響します。評価算定の基準となる路線価は、いつでも税務署で閲覧することができるので、住宅用地購入のときは参考にするといいでしょう。
【著 者 長 岡 利 和】