毎月どのくらいの金額を、住宅ローンの返済に充てられるか。何を目安にして決めればいいものかが悩ましいところですが、賃貸物件の家賃と同じくらいの金額を想定している人が血行いらっしゃるようです。
「月々の家賃をこれまでも払ってこられたのだから、住宅ローンも同じくらいの額は返していけるだろう」と想像するのは、なるほど納得もいきますが、この「家賃同等額」にマイホーム関連費用をどれだけ含んでいるかが、後に大きな問題となります。
特に、マンション生活を始める人は要注意です。
○固定資産への準備金と住宅ローン
戸建てとマンションの購入の両方に共通して言えることですが、これまでアパートや賃貸マンションで生活していた人の住居費は、家賃だけだったはずです。(中には町内会費や共益費が別立ての物件もありますが、微々たる金額でしょう)
しかし、不動産を所有することになると、避けては通れないのが「固定資産税」です。土地建物のそれぞれに課税されるため、年間で家賃数ヶ月分に相当するくらいの課税額が来ることを覚悟しておきましょう。
年間課税額を一括、または4期分納で納税することになりますので、あらかじめ固定資産税分のお金は、貯金しておく必要があるでしょう。
○マンション特有の出費と住宅ローン
持ち家一戸建てのマイホームは、土地にかかる税金から、その建物の維持管理まで全てが自己責任です。しかし集合住宅であるマンションの場合は、その物件に住まう人たちがそれぞれの役割を担って、維持管理していくことになります。
持ち家にはない、マンション特有の出費は以下の二つです。
●マンションの修繕積立金
ひとつの大きな建物の中に、いくつもの世帯が同居しているマンションは、その建物の修理修繕に対して、全世帯で費用を負担する準備をすることとなります。
住宅ローンの支払い可能額を試算するときには、修繕積立金の額を別途計算して、トータルでいくら住居費に当てることができるか計算します。
数十年にわたって積み立てる修繕費だから、たいした額では無いだろう…と思っていたら大間違い。新築マンションは販売当初こそ安く設定されているかもしれませんが、老朽化が気になる10年超あたりから、見直しの可能性もあります。ある調査では、1平米202円という修繕積立金の平均試算もあり、仮に70平米の占有面積なら14000円くらいを想定しておくと良いでしょう。
●マンションの管理費・駐車場
マンションは管理組合を置いて、共用部分の維持管理と修繕積み立て管理を依頼します。最近は管理組合業務を一手に引き受ける業者の受託が多くなっていますが、この受託業者への報酬のほか、共用部分の設備が充実している(エントランスが豪華・娯楽施設をおいている・コンシェルジュの宅配受け取りやごみだし管理がある等)物件は、傍目に便利だと感じますが、住まう人の管理費がこのような設備とメンテナンスに使われると思っていいでしょう。
また戸建てなら、敷地に車を止められるだけ止めれば良いですが、マンションの場合は、車を所有している限り、駐車場代がかかります。
家賃=住宅ローンと安直に決めるのはNG。特にマンションは管理費と修繕積立金は、物件によって差があるため、専有部分とあわせて慎重に選びましょう。
【著 者 長 岡 利 和】