住宅ローンの金利が、かつてないほどの低水準となっています。数年前に住宅を購入した人は、買った時すら「今が買いですよ!」と、金利の低さを強調されたかもしれませんね。
一度返済がスタートすると、その返済金額が気になって、プランの変更や借り換えを思い立つのが面倒に感じるものです。しかし、長い目で見れば、購入時よりずっとトータルの返済金額を安く抑えることができます。
○住宅ローンの金利推移
年々、住宅ローンの金利は下がり続けています。購入してから住宅ローンの金利推移を気にかけていなかった人は、その金利の低さに驚愕するかもしれません。
およそ5年ほど前までは、変動金利でも2パーセント台が主流でした。
しかし、国のゼロ金利政策がスタートしたのち、あらゆる金融商品の金利が下がり始め、マイナス金利政策がとられたのちもその動向は続いています。
現在は、変動金利で1パーセントを切っている状態ですが、なかには固定金利でも同様のケースも見られます。
○変動金利と固定期間満了のローンは見直しを
変動金利で住宅ローンを組んだ人は、半年ごとの金利見直しで、十分に恩恵を受けて元本をへらしてきているでしょう。上昇すれば利息分がダイレクトに返済金額に反映するので、先の予測と景気動向をしっかりチェックしておかねばなりません。
5年ないし10年の固定金利で住宅ローンの返済をスタートした世帯は、固定満了がローン借り換え・見直しのチャンスです。
借り換えをすれば、新たに金融機関と住宅ローンの審査契約をする必要がありますが、さらに固定金利期間を増やすことになり、今の情勢で金利を固定させることができる安心を得られます。
○借り換えや繰り上げ返済にかかる費用
いくら金利が下がったとはいえ、購入から間もない人が住宅ローンの借り換えをすると、反対に元本を増やしてしまうこともあります。
借り換えを行えば、新たな金融機関が第一抵当権を設定するための変更登記や印紙代、保証料が発生します。借り換え手続きは、元本にもよりますが50~100万近く費用がかかると思っておきましょう。
この費用を相殺しても、元本と金利を減らすことができるシミュレーションができれば、借り換えのメリットは充分にあるでしょう。
元本を減らしながら、貯蓄が可能ならば繰り上げ返済も検討しましょう。まとまった貯蓄をずっと銀行に預けておくより、大きな借金(住宅ローン)の元本を減らしたほうが賢明です。
金融機関によって、繰り上げ返済の手数料が異なりますので、こまめに繰り上げると費用がかさんでしまうこともある点には注意しておきましょう。
借り換えにしても、繰り上げ返済にしても、住宅ローンの元本を減らすためにはタイミングや費用をトータルで考える必要があります。
ただし、今借り入れを行っている金融機関では再借り換えはできず、「条件変更」となります。交渉に応じてもらえる代わりに、住宅ローン以外の金融商品へ変更となってしまい、適用金利が上がってしまうというケースもあるようですので、あらかじめ下調べをして相談するのがベストです。
【著 者 長 岡 利 和】