相続税の計算方法と税率について

親やつれあい配偶者など、近親者に先立たれた時、そのかなしみにくれるまもなくシビアに決めていかねばならないことがいくつかあります。
感傷に浸っている場合ではない…という一つの例が、相続財産の分割と相続税の支払い方法についてです。
平成27年4月1日から、相続税・贈与税にかかる税制の改正が行われました。改正点に着目すると、相続税課税対象者が拡大し、被相続人が所有する不動産の価値によっては、一部納税が必要な親族も出てくる可能性が高くなりました。

〇相続税金額の計算は
相続税がいったいいくらになるのか。これは被相続人が持っていた預貯金や株式等と、不動産の価額によって大きく異なります。
また、相続財産と贈与にも密接な関係があります。
相続税がかかるかどうかの計算は、まず相続や遺贈で取得した財産と、相続時積算課税の適用を受けて、以前に贈与を受けた財産の合計額が、基礎控除額を超えた部分について、税率を乗じて計算します。

〇相続するのはもらう財産だけではない
被相続人が持っている財産は、換価してプラスになるものだけとは限りません。例えば、ローンの借り入れを行っていた場合や、誰かに借金をしていた場合など、債務が残っていればそれも「負の財産」となります。
相続人は、相続するという意思表示をしたとき、プラスとなる相続だけではなく、負の財産も相続することになります。(ただし、一概にすべてを想像する方法だけではなく、相続人の同意を得られた時は限定承認(一定の限られた相続財産のみを相続する)もあります。)

〇相続税と贈与税
家族の中で、誰かが死亡するときのことを考えて、あれこれと準備するのは不適切だと思う人もいるかもしれません。
ただ、被相続人やその配偶者は特に、自分たちだけではなく、残される子孫世代の将来をかんがえて、出来うる策を講じておくという考えにシフトしておくべきでしょう。
相続税と贈与税は、上手に双方の特例を活用すると、基礎控除以外の適用如何で、納税額を減らすこともできます。
相続対策を考えるときには、贈与税の計算や税制にも着目しておきましょう。

〇相続時精算課税とは
親・祖父母年齢が60歳以上、子孫年齢が20歳以上であれば、贈与税の相続時精算課税を取り入れるという方法もありでしょう。
これは、上記年齢の親や祖父母から子孫に贈与した財産にかかる税金を、相続が発生した時に清算する方法です。
贈与の回数や、対象財産の種類、額面(金額)に縛りはありません。相続時精算課税は、他の贈与財産と区別して、独立して計算します。贈与財産の価格合計額から、複数年かけて利用することができる特別控除額を控除して、一律20パーセントを乗じます。
ただ、この制度を利用したときの特別控除額は、限度額が最大2500万円と大きいことから、相続財産の種類によってはこの適用を受けるほうが、一律年間110万円の基礎控除よりも税額を抑えられることがあります。
相続税と贈与税、分割相続など、何かと内輪もめしそうなことは、生前にキチンと話をしておくか、税理士に計算を依頼し、少しでも納税額を抑える策を講じておくとよいでしょう。

【著  者   長 岡  利 和】

 


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