リアルタイムの不動産市場の動きで確認を
野村不動産アーバンネットが2016年4月1日時点に発表したばかりの住宅地と中古マンションの実勢価格調査では、それぞれ対象になる住宅地と中古マンションについての実勢価格を3か月ごとに調査したものを変動率で表しています。
そのためリアルタイムで不動産市場の動きを知ることができますが、東京、神奈川、埼玉、千葉など首都圏に限定された内容となっており都県全体の情報を表わしているわけではないということだけ注意しましょう。
首都圏における価格変動率については、住宅地はプラス0.4%、中古マンションはプラス0.3%となっており、値上がり幅の縮小は見られるものの全体としては緩やかに上昇していることがわかります。
「タワー」マンションは本当に高い?
中古マンションの市場データによると、例えば東京都内の中古マンションで限定して集計した場合では、ここ2年間の売り出し件数は1.6倍となっており、価格も1.2倍に上昇しています。中古に人気が集まる理由の1つに、タワーマンションなどを敬遠しがちな傾向が見られることがあげられます。
・タワーマンション
タワーマンションの場合、富裕層が集まる都心部を中心にクローズアップされることが多く手の届かない物件のように思われがちです。この「タワー」と名称に付く物件だけで集計した場合、売り出し件数は同期間でも2.3倍に増え価格は1.13倍で中古マンション全体より低水準となっています。少し視野を広げると物件数にゆとりがあり、価格の上昇率が低く以外にもお買い得物件が見つかるかもしれません。
・メガタワーマンション
1棟が500戸を超えるメガタワーマンションの場合、同時に数十戸を売りに出している場合もあります。価格は高めで価格交渉にもほとんど応じることがないことから、いつまでも売却できず入居者が決まらないままという状況であることも考えられます。ただし、明確にライフステージなどの理由があって売りに出されている場合は価格交渉に応じてもらえる場合もあります。
都心部のマンションの値上がりが目に付くことから、郊外と都心の中間部分にある中古マンションなどは手ごろな価格であると感じられてマンションの購入を希望する人が目を向け始めている兆候が見られます。
新築マンションは激減し中古マンションが急増?
今後予想されるマンション価格の動きについては、まず首都圏の新築マンションの年間供給量は毎年4万戸台です。現在中古マンションの供給量はかなり増加しており、1か月の流通量について新築と中古で比較した場合、中古マンションが新築マンションを大きく超えています。
首都圏全体の新築マンションと東京都の中古マンションが同じくらいの規模となっており、流通量に伴い在庫も膨らんでいるものの、価格も一部で調整が発生している程度で全体では下がっていない状況です。
今後の中古マンションの相場に変化はある?
新築マンションの供給量の不足により、マンションの購入を希望する人の目が中古マンションに向いていることは間違いありません。そして中古マンションへの需要は今後ますます強まりを見せていくと考えられます。マイナス金利政策が影響したことで住宅ローン金利低下が、物件購入能力の底上げにもなっている状況です。それもあって、今後、中古マンションの価格がある程度ピークを迎えて下落に転じるという方向に転換されるまではまだ時間があると考えられます。
【著者 長岡 利和】