自分が毎日快適に過ごすことが出来る「家の理想」を想像したことがありますか?
マイホームが欲しいと思い出したら、色んな物件を見て回りたくなるでしょう。マンション住まいか、一戸建てか。はたまた二世帯住宅を親と共同で建てるか…。
住まうかたちは色々ですが、自分たち家族にとって最もふさわしい(使いやすい)広さを基準にして、マイホーム設計を考えてみましょう。
○使いやすいマイホーム=広さではない!
どんな家に住みたいか?と聞かれると「広いリビングに広い収納、ゆったりとしたキッチンに…」と、広さを優先した間取りにあこがれる人が多いようです。
実際に、そのすべての広さを実現できるような土地と建物を、ためらわずに購入できる人であれば問題ありません。しかし、実際はマイホームを購入しようと前向きに考えることにも、弾みや思い切りが居るのが現実です。
そこで、どこかのスペースを広く取れば、その分何かを狭めなければならなくなるわけです。
●ただ広ければ良いという誤解
なんでも広く作っておけば、ゆとりがあるように感じます。マイホームに対しても、「より広く、より開放的に」とイメージしたくなりますね。
ただ、何の工夫も無く広いだけのスペースは、かえって使いづらくなります。家族が集うマイホームの象徴、リビングもそれは同じです。
●動線をいかした間取り設計を
例えば、リビングをマイホームの中心に置いて、その周囲を囲むようにキッチンやトイレを配置するという注文住宅が近年人気を集めています。
設計をする側には、水回りを基準に動線を作りやすいという利点があり、住まう人もリビングを起点にして移動が容易だというメリットがあるのです。
2階建てであれば、階段をリビングに置いて吹き抜けにすると、離れた部屋でも家族全員の気配を感じることができます。このときは、冷暖房や空調に配慮が必要です。
●広さが必要なスペースにフォーカスする
寝るだけだから寝室は狭くても良い、客間として使うかもしれない和室も狭くて大丈夫、お風呂はゆったりした方が良いけど、洗面脱衣所は狭くても…
スペースの引き算を始めると、普段は余り使わないと思われる部屋などをどんどん狭く見積もってしまいます。
ただ、設計上の引き算と、実際に使って体感する広さは、使う人の身長や体格で全く異なります。客間の和室が仮に6畳以下だと、成人男性はせいぜい一人でゆったり(二人だと狭く)なる、位のイメージを持っておいた方が良いでしょう。
マイホームを前向きに考えた時に、モデルルームを見に行くという世帯もあるでしょうが、ハウスメーカーのモデルハウスはある意味一つの「あこがれ」と捉えておきましょう。
適度な収納と必要十分な広さ、そして家族が集うことの出来るリビング。加えて動線に配慮した配置が整えば、おおよそ満足のいくマイホームに近づけることができるでしょう。
【著 者 長 岡 利 和】