相続税の課税対象範囲が平成27年から拡充されました。
相続をする家族の基礎控除額が引き下げられたためです。これまでは、おおよそ被相続人が事業経営者や、俗にいう一財産保有している富豪でない限り、相続税の課税対象になることはないと思われていました。
これからは、土地付き建物(実家)が相続財産としてあれば、土地の価格が高いエリアに住んでいる人なら相続税が発生する可能性があるといわれています。
預貯金や生命保険、保有株券など、その他金銭的相続財産も合わせると、相続税を支払う必要がある人の割合は増加することとなります。
〇相続税を考えるとき 家族全員で話し合いを
相続を考えるのは、その親が死亡するときを想定することを意味します。子どもや配偶者にとっては、できるだけ避けて通りたい話でしょう。
しかし、現実的に親が亡くなった後、相続財産の分与を巡って仲たがいが続き、疎遠・絶縁してしまう家族もあります。
家族と金銭トラブルは、避けて通れないと気分を割り切り、のちにもめ事を大きくしないためにも、早めに話し合いをして、相続税の負担をできるだけ軽く、安くする方法を皆で考えるのが得策です。
〇現存する資産以外に相続するもの
目に見える範囲で把握することが可能な財産であれば、相続税を払っても手元に資産または現金が残れば親に感謝…と言いたいところです。しかし、相続をするのはプラスの財産だけではありません。
被相続人が負債を抱えていた場合、例えば借金・借入も相続人が引き継いで返済義務を負います。また、被相続人が他人の借金に対する保証人担っていた場合も同様です。(原則であり、限定承認や相続放棄の場合もあります)
仮に、その借金の契約段階で「契約者本人に限る」などの特約があれば別ですが、保証人の事実は、主契約者が返済の遅延や破産などで債権の支払いをストップしたタイミングで発覚することが多いです。相続がすべて完了した後にもトラブルの元を掘り起こさないように、相続にかかわる人すべてが、債権債務や資産について把握し、相続や分与に対してキチンと把握しておくことが大切です。
〇残すより使う発想で相続税を安く
残された資産や預貯金があれば、相続した人はその額面に応じて相続税を払う義務を負います。
ただ、被相続人がローンや借金の残があって、負債が残っている場合には、資産全体を足し引きして、プラスの財産であれば課税されます。
要は、負債(マイナス評価の資産や借入)があれば、相続税が安くなるということです。
俗に、「相続する更地にアパートを建てろ」といわれるは、土地を活用して負債を作り、相続税を安くするための対策に有効なためです。
【著 者 長 岡 利 和】