相続した実家の空き家をどうする?活用方法は

子どもが成人して独立し、結婚して家族が増えて家を買った。これだけの話を聞くと、親が安心できる・親孝行な子どもだと思われがちです。 
ただ、子どもがみんな独立して、実家を継ぐ(相続する)親族がいなかったとき、その土地建物は子どもにとってどうしようもない「無用の長物」になってしまいます。
相続発生事由が起こった後に人がすまなくなって、実家が空き家同然になった時間が長ければ長いほど、家は損傷スピードが速くなります。
せめて、その不動産についてどうしたいか、誰がその不動産を引き継ぐのかという話は、あらかじめしておくべきでしょう。

○相続する人が実家を継ぐ場合
相続財産を、誰に対してどう分配するかが、相続の話で一番もめるポイントです。
仮に子どもが既に自分名義の不動産を所有している場合、持ち家と合わせて実家の管理をするのは大変ですね。
しかし、賃貸物件に住んでいる、マンション住まいでいずれ一戸建てに住みたいと思っていた、という相続人がいれば、いっそのこと空き家にするより管理を任せてしまうという方法もあります。

○空き家つきの土地売却が難しい
実家がきれいで、その建物に充分資産価値があって、なおかつ相続人が不動産ではなく換価して相続分配を望んでいるなら、思い切って売却するのがいいでしょう。
不動産価値はその時々で変わります。建物は償却しますが、土地の価値は時々で変わるため、遺産分与のときに将来の価値が変わってしまう可能性が、更にトラブルの原因にもなりかねないのです。
一度換価清算してしまうと楽になりますが、実は家付き土地は築年数が経過した物件の売却はとてもハードルが高いのです。
できれば更地が良い、という土地探しをしている人にアピールしづらく、かといって住まう環境が整っていないふるい空き家となれば、建物の不動産活用に二の足を踏んでしまうでしょう。

○リフォームして相続すればいい
被相続人が「実家を継ぐ世帯に、住まいやすい家作りをしてもらうため」に現金を多めに相続させることがあります。しかし、同じリフォームをするなら、生前のうちにしておくべきでしょう。
相続したリフォーム用の預貯金も相続税課税対象にみなされます。

●リフォームで早めの相続税対策を
被相続人の預貯金を使って、相続財産の住宅修繕やメンテナンスをしておけば、リフォーム代金分の現金を減らすことができ、実家を空き家にしないためにきれいに住まうことができます。

●空き家をリフォームしても相続税はアップしない
相続財産の建物をリフォームしたら、資産価値が上がってしまうという心配がつきものです。
傷んだ箇所を補修、修繕する分には相続税(固定資産税評価)が増えることはありません。あくまでも修繕が前提ですので、理想の間取りに変えたりすると評価が変わってきます。
いずれにしても空き家のままでは、相続に不都合となることも多いでしょう。継続して使うならメンテナンスして空き家また作っていきましょう。

【著  者  長 岡  利 和】


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