今住んでいる購入物件から、何らかの事情で引っ越しをして住み替えを検討している場合、残る住宅ローンと、これから新たに借り入れをする必要のあるローンの二つを考える必要があります。
二つの住宅ローンを新築で購入するのは、思い切りと返済能力が要りますね。そこで、まずは、住み替え前のマイホームを売却して、売却代金を頭金にして次の住まいを探すというのが、通例でしょう。
ただ、高齢世帯になって住まいにくい家をどうにかしたいという人や、従前の家を相続する人がいないので、小さな家を購入しなおして余生を豊かに生きたいという夫婦が急増しています。
そんな世帯に向けて便利な住宅ローンの形が注目され始めています。
〇リバースモーゲージで住宅の住み替えを
少子高齢化の波に乗って、住宅ローンの形も変わり始めています。子供世帯はすでに住む場所を作り上げているという家族も少なくありません。
リバースモーゲージは、従前の家を担保にして金融機関が一定額を融資するというものです。死亡時に住宅を処分することで、一括返済をおこなうというお金の流れになります。
●高齢世帯は住宅ローン審査に通りにくい
預貯金を切り崩して、新たなマイホームを建てるほどに余裕があれば別段の問題はありません。しかし、余生豊かに落ち着いた生活を送りたいと願うとき、安心して住まうことができるマイホームと、生活に困らない程度の蓄えを備えておきたいでしょう。
住まいづらくなった家の住み替えを考えたとき、一括購入が出来なければローンを組むことになります。ただ、高齢世帯は収入審査や年齢、返済までの見通しが立てにくいので、ローン審査を通過することが難しいのが現状でしょう。
●住宅支援機構の制度で金利のみ支払いも可能
６０歳以上であれば、このリバースモーゲージのメリットをさらに活かした「高齢者向け返済特例制度（まちづくり融資）」の申し込みを、住宅支援機構で行うことができます。
これは、借入の申し込みをした６０歳以上のひとが、自分の住み替えを目的として、マンション建て替え事業等の住宅を購入するために利用することができる融資制度。
このメリットは、月の返済額を抑えることができるという点です。亡くなるまでの返済は、金利部分の支払いだけでよく、元金部分は担保にした従前の住宅を処分実行して借入完済することができます。
●リバースモーゲージで住宅購入する際の注意点
仮に、相続人がいた場合は、亡くなった時点で担保物件を処分することになるので、相続不動産がなくなることになります。
また、担保にした持ち家で元金の支払いを全額行えない場合は、残金を相続人が継承することになります。
住み替えをして老後の生活を豊かにおくることができる可能性を秘めたリバースモーゲージですが、利用する際は、相続人とキチンと話し合いをして、だれもが納得してから実行すること。これが最大の条件となるでしょう。
【著 者 長 岡 利 和】
