相続の分配と税対策 法定相続分ってなに?

親が、わずかながらも子供や連れ合いに残したいと思い、まとまった資産を生前に作ったとしても、その分配にもめて結局は仲たがい(争い)をするケースは少なくありません。


親の遺産が明らかになってくると、期待と欲望がわきあがり、ありもしないほどの額を想像して、金(物)欲に駆られる人もいるかもしれません。
冷静な判断と意思確認をするためには、しっかりと事実を知っておく、その事実を受け入れる必要があります。遺言がある場合や家族全員で話し合いを持つことも大切です(盆・正月以外の時期は現実的ではない相談時間です)。相続遺産の分与(法定相続人のこと)をどうするか?という問題を現実的に考えることが大切です。

○法定相続分と遺産の分配
相続人となる人が法律によって定められた割合で遺産を分割し、得ることができるその分配取り分を「法定相続分」といいます。
相続人となる人の血縁関係や婚姻関係、人数によって取り分は変わります。仮に一人しか相続対象者がいなければ、分配することなく、一人が遺産を引き継ぐことになります。

●相続人が多いほうが節税につながる
相続すると、手元に現金があったり、建物の所有者となったりしますが、相続を受けた人に対して納税通知書がきたら、キチンと税金を納めましょう。
ただ、相続人が多ければ基礎控除額も大きくなります。基礎控除が引き下げられましたが、相続人がたくさんいる場合は積算して基礎控除を引き去ります。これが節税のヒントです。
相続税を納付義務は、相続遺産を受けとった人全員の現金納付です。この点には充分に注意しておきましょう。

●配偶者の有無と遺産分配
例えば夫に先立たれた妻、子どもがいる場合、妻には二分の一が分配されます。残りの二分の一を子どもの人数で按分し、それぞれが相続することになります。
子どもがいない夫婦の夫と、その両親が相続人となるときは、妻が三分の二、残りの三分の一を夫の親に分配します。
被相続人に配偶者がいないとき(配偶者に先立たれたとき)は、子どもだけが相続人なら子の全員で、親だけが相続人の場合は親全員で均等に分配します。
配偶者と兄弟姉妹で相続する場合は、配偶者が四分の三、残りの四分の一を兄弟で分配することになります。
この分配をする割合と相続税の支払い、配偶者の立場、親や子どもの生存有無が、複雑な人間関係と相まって、相続のときに起こる揉め事の根源になるケースが多いのです。

●法定相続分とおりに分配しなくても良い?
法律で定められている「法定相続分」の効力は、これまでの話で一定の効力を持っているように感じるでしょう。しかし、相続人同士でもめないように話をして皆が納得いけば、法定相続分に沿って分配する必要はありません。
実際に、法定で算出して相続をするより、話し合いで分配を決着したという人のほうが圧倒的に多いようです。

【著者   長 岡  利 和】

 


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