夢のマイホーム…とも言われますが、最近このマイホームに対する憧れ、また考え方に変化が見られます。
家族が快適に暮らすための環境づくりには、持ち家が一番。と言われていたのはもはや昔の話なのでしょうか。
○マイホームを持たない理由は
働き方や住み方など、その家族ごとによる事情は、住まいに大きく影響します。持ち家を購入する転勤族の人は稀でしょう。老後に住まいを準備する「高齢者購入」も近年では注目されていますが、ローンと不動産の名義を含めて、子孫の世代にまで関わりが出てきます。
親がすむ実家をいずれ引き継ぐ・ローンを支払っていくことに自信がない・マイホームに縛られた生活ではなく、ライフスタイルの変化に合わせた生活を都度選択したい…など、その決断にはいろんな要素が複雑に絡みあうようです。
○賃貸とマイホーム お金がかかるのはどっち?
マイホームを購入すれば、完済後に家賃が掛からず、住まいに対する心配が無くなります。という話を聞いたことがあるでしょうが、住居にお金が掛からない…ということはありません。
●修繕費がかかるマイホーム
住まい続けていれば当然に、住居内の設備や建具は老朽化していきます。その修繕費用にかかる出費は、築年数が長くなればなるほど大きくなると考えておきましょう。その他、固定資産税も発生しますし、当然住宅ローンの返済も重なります。
マンションを購入した場合は、更に修繕積立金と管理費、駐車場代が必要になります。
●家賃を払い続ける賃貸物件
賃貸物件は、まず借り受けるときに敷金ならびに礼金が必要です。以前は家賃3か月分とも言われていました。地域によっては物件が飽和気味なので、空き部屋を嫌う不動産会社や大家さんによっては、敷金不要の物件も登場しています。
借家暮らしを選択すれば、毎月決まった家賃が発生します。借家であれば家賃(車を所有していれば駐車場代)以外に住まいのお金はかからないと考えてよいでしょう。
ただ、退去時には注意が必要です。賃貸借契約書の規約によりますが、借り受けた物件は「原状回復義務」を負うのが通例です。消耗部分以外(たたみなど)は、全て元通りにして返すのが前提になります。敷金を支払っているから大丈夫と安心はできません。
敷金(内金)で不足した分は請求されます。ここも、規約に一部よりますので確認しましょう。
マイホームに対する金銭的、または生活シーンからの事情や想いをもとにして「持たない」という選択をする人も少なくありません。
購入すれば安くはない買い物です。これからマイホームを買おうかと考えている人は、購入に踏み切って後悔することがないように、夫婦や親と話し合いをして、家を長く有効に活用できる方法も考える必要がありそうです。
【著 者 長 岡 利 和 】