相続をする、ということは、親または近しい親族の死亡を意味します。決して明るい話題ではなく、ついつい現実から目を背けてしまいたくなる様な話です。
相続の話を切り出すと「そんなにカネが欲しいのか」などとマイナスイメージにとられる心配をする人もいるかもしれません。ただ、その様に顔色を見ているうちに、相続事由が発生し、あっという間に申告期限が来てしまうかもしれません。
はじめに言っておきます。簡単にスムーズに相続の話が進むほうが珍しいのです。延滞金が発生しないように慌てて申告し、後でうらみつらみを発散する(または受ける)ような泥沼相続にならないために、被相続人が生存している間に対策しておきましょう。
○相続財産の処理・申請をスムーズに
目に見える土地や建物、預貯金だけが相続財産であれば、さほど問題は無いでしょう。遺言の有無を確認し、あわせて放棄や限定承認(相続発生事由から3ヶ月以内)を確認後に、万が一揉めてしまった際は、強引な方法ですが、法定相続割合に沿って分けてしまえば良いでしょう。
しかし、親が善意で生命保険などに加入し、その存在を誰も知らなかったら…。ネット証券で取引をしていたらしく、その取引画面に誰もログインできなかったら…。これらの処理をスムーズに行う目的としても、生前の話し合いと相続財産の存在を明らかにしておくことはとても大切です。
○結構高いぞ! 相続税延滞利息
相続税は現金納付が原則です。仮に不動産や株券など、預貯金以外の相続を受けた場合でも、相続財産に乗じた税率に応じて、現金で納めなければなりません。
これが、実は非常に悩ましいポイントといえるでしょう。相続がうまく進んで分与したとしても、発生した相続税分の現金を準備しなければいけません。
●延滞金のキーポイントは2ヶ月
延滞してしまったものは、できるだけ早く支払うほうが望ましいですね。これが顕著にあらわれているのが相続税の延滞利息です。
延滞した期間に応じて、付される利息が異なります。通常は本来の期限到来日から2ヶ月以内なら年利7.3パーセント(平成29年は12月31日まで年利2.7パーセントに減税)です。
しかし、これが本来の納税期限から2ヶ月を超えた途端に、倍の年利14.6パーセントとなります。(平成29年は12月31日まで年利9パーセントに減税)
これらの金利は、他の延滞時利息と同じですが、近年の金融系キャッシングと同様の数値です。
この数字を見れば判るように、相続事由が起こったら出来るだけ早く、そして出来るだけ円滑に相続の申告を完了させて、納付を済ませてしまう方が吉です。
期限内に相続税を支払えば、余分に延滞金を請求されることもありません。また、この延滞利息は、納付期限の到来日から児童計算されるので、催促や督促を待って(秘密にして)いても決していいことはありません。
速やかに相続を終了させて、払うべきものを支払う、現金納付が難しければ国税庁(税務署)に相談をして期限の猶予をもらうなどの手続きを、決められた手続きに沿ってキチンと行いましょう。
【著 者 長 岡 利 和】