我が家にも相続税が?控除額引き下げで対象者が増加

平成27年から、相続税に対する基礎控除額が引き下げられました。これまでは、『相続なんて「お金持ちの人が悩むこと」なんじゃないの』と思っていた人も多いはず。
どのくらいの財産があって、その所在はどこで、引き継ぐ人が誰なのか。特に持ち家のある世帯や家族は、相続対象者をあつめて一度真剣に話し合っておく必要がありそうです。

○相続税の納付対象者が増加したわけ
相続税の増税が施行されたのは平成27年1月1日以降の発生事由からです。以前と比べて、相続税基礎控除額が4割カットされました。

●基礎控除額がカットされるということは
遺産相続をする人は、その相続財産を任せる(自由に使える)権利が与えられます。親や兄弟姉妹の持っていた財産を、親族に引き継がせる行為です。
相続人にとっては、遺産が多いほど自分の財産が増えます。いわば不労所得です。配偶者を除く法定相続人の基礎控除額は、従前の制度では5000万円でしたが、一人当たり3000万円に引き下げられました。資産を持つ人の没後に、不労所得を得た相続対象者からの税金回収額を、これまでより増加させたいもくろみが見えてきます。

●相続税を計算する難しさ 重要なのは不動産価値
現実に、どれほど相続税を前向きに考えなければならないかというのは、その家庭や資産状況によって違います。
預貯金や株式など、金銭や金融資産が中心の場合、相続財産となるものの総額をしっかりと把握しておくのは難しくありません。
ただし、土地や建物といった不動産は、その時世での価格が元になります。建物は老朽化によって資産価値は一般的に減少しますが、リフォームした・太陽光発電を設置した場合は、価値が上昇します。土地の相続時価格とあわせてきちんと対象物の価値を把握しておくべきでしょう。

○「実家を誰が相続するか」が税額を左右するポイント
相続税が難しいと思われる理由のひとつに、贈与税との関係があります。実家を子どもが引き継ぐとき、また実家を建て直す(リフォームする)ために親子で共有名義の住宅ローンを組んだときなど、贈与と相続が大きく関連してきます。
生前に贈与税が関係する税制度を利用した場合、相続時に一括清算をしたり、贈与税制度の中で控除を受けた額がある場合には、相続人それぞれの税額が増加したり減少したりする可能性もでてきます。

●実家を子どもが相続して税額増加を抑える
被相続人が住まう家は、その後配偶者が住み続けるという生活を想像しますね。この場合、配偶者が家を引き継ぐ(相続する)と、基礎控除額が大きい「配偶者控除」を適用して、相続税が非課税になるケースが多いです。
しかし、子どもが同居しているなら、子どもに相続させて後の二次相続(子どもだけの相続)に備えると、二世代にわたる相続税の納付額が抑えられます。個別のケースによって最善の方法があるはずですので、税理士など専門家に相談してみると良いでしょう。

【著  者   長 岡  利 和】


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