住宅を購入してローンを組めば、それから数十年という長い期間をローンと共に生活することになります。
住宅を買ってうれしい、でもローンの支払いがずっと続くことに不安もある…。こんな風に漠然と不安を感じている人もいるでしょう。
もし、預貯金に余裕があれば、頭金を増やして借入額そのものを小さくする方法があります。ただ、全く貯金がないまま生活をするのも不安でしょう。もしもの場合に備えて、いくらかは手元で自由に使える余裕を持たせておくのが理想です。
貯金が順調に増えたら、ローンの元金を前倒しで支払ってみませんか。繰上げ返済のポイントを知れば、どんどん前倒しで住宅ローンの返済をしたくなるでしょう。
○貯金とローン返済 優先したいのはどっち?
家を買った。これから子どもの教育費や進学にもお金がかかる。頑張ってローンを返済しながら貯金しなければ。家を購入したら、次の目標に向かって貯金に励みたくなる人も多いようです。
子育て世代は特に、子どもにかかるお金への不安もあって備えたくなる気持ちは分かります。しかし、一定額の貯金ができるサイクルが家計のやりくりで整ったなら、住宅ローンの繰上げ返済を検討しましょう。
●ローンを前倒しで減らすメリット
住宅ローンの借入れ審査をするときに、多くの人が注目するのが元本、いわゆる本体購入価格です。しかし、実際に支払うローンの総額は、本体価格より多くなることは想像できるでしょう。住宅ローン金利が上乗せされるのです。
元本に対して、住宅ローン金利を乗じた額が月々の返済額になります。順調に返済を繰り返していたとして、申し込んだローンが変動金利型だった場合、その返済額も金利の上がり下がりによって変わってきます。
これまでの超低金利住宅ローン時代が、いつ終わってしまうかも分かりません。仮に10年固定型でローンを組んでいたとして、11年後の金利次第によっては、これまで以上の返済額になって元本返済分はかわらないといった事態も十分にありえるのです。
元本を確実に減らすこと。これが住宅ローンを賢く返済するポイントです。そのために積極的に頑張りたい方法が「繰り上げ返済」なのです。
○金利上昇に備えた住宅ローンの前倒しを
フラット35で満期固定金利ローンを申し込んでいる世帯は、前倒し返済に縛りがあるかもしれませんので、契約内容を確認しましょう。
変動または有期固定型の住宅ローンを選択した世帯は、コンスタントに支払うことを目標にするのではなく、元本を減らして負担を軽くし、更に返済総額を抑えることを考えましょう。
一定額の預貯金は、備えとして必要でしょう。そして、住宅ローンを繰り上げ返済すれば、元本を減らすことができるので数十万から百万円単位で支払い総額をへらすことができるかもしれません。
ローン残高が大きいうちに前倒しで支払うほうが減額効果も大きくなります。ローンを前倒しする目的で貯金をスタートするのもいいのではないでしょうか。
【著 者 長 岡 利 和】