持ち家を購入したいと思う人の中には、大別すると、マイホームに理想の住まい方を求める人と、住む場所を安定させる事が目的の人2タイプいます。
理想を追求するタイプの人は、デザイン設計や施工、建材に至るまで、こだわりを詰め込みがちになるため、マイホームが完成するまでの数年かかる事も珍しくありません。
住処としてマイホームを求める人は、概ねスタンダードなプランで欲求が満たせるケースが多く、建売住宅やメーカー標準プランを元に住まいを考えるパターンが多いです。
少しでも早く、新居を購入して引越ししたいという人は、建売住宅に魅力を感じるでしょう。ただ、土地と建物、二つの不動産には複雑に条件が絡む事もあるので、契約内容をきちんと確認する事が大切です。
○土地所有権の有無で後悔しないために
建売住宅と呼ばれる販売方法は、大きく3パターンに分けられます。
●一般的なマイホーム 戸建て住宅の場合
マイホームの購入を検討している人は、おそらくモデルハウスや、内覧会を行っている建売住宅を見に行った事があるでしょう。
通常、購入する時点ですでに家が建っている状態のものを「建売住宅」と呼びます。既に完成している新築住宅を、建築地もあわせて購入するパターンです。この場合の購入価格には、建物だけではなく、土地も全て含まれており、所有権は買主に移転します。
●建築条件つきマイホーム
新興住宅地に多いのが、このパターンです。設計事務所やハウスメーカーが協賛しており、購入する土地が決まれば、その業者の中から施工を依頼する先を決めるというもの。
土地の購入が決まってからマイホームの施工に入るので、プランニングにはある程度の自由度がありますが、ここだと決めたメーカーや設計事務所がある場合は、建築依頼をする事ができない可能性があります。
また、土地の契約から一定期間中に建築請負契約を結ばねばならない、という時間の制限があります。
●土地所有権なし 借地権付きマイホーム
権利関係をハッキリさせて、納得の上で購入しなければならないのが借地権のある住宅です。この場合、建物は購入者のものですが、土地の所有権はありません。土地を借りているだけです。
土地を購入するより、初期費用が断然安く済むのが借地権のメリットです。しかし、契約内容によっては、期間満了で返還義務を負うという条件も成立します。ずっと住み続けたいのに、土地を返すためにとり壊さなければならない場合もあるのです。
一度契約が成立すれば、いくら後悔しても簡単に変更や取り消しできるものではありません。違約金や手付金放棄など、お金が絡む問題に発展します。
手間が掛からずスピーディーに購入できる印象がある建売住宅ですが、いざ契約した後で問題がおきて後悔することがない様に、しっかりとデメリットにも目を向けましょう。将来を見通した計画を立てる事が大切です。
【著 者 長 岡 利 和】