土地や建物の不動産を、相続財産として子どもに残そうと考えている夫婦は多いもの。国税庁データによると、相続財産のうち土地建物などの不動産が占める割合は52%という結果がでています。遺産のうち半分以上が不動産、残りが預貯金や有価証券、動産という事になりますね。
ただし、分与をする場合、土地や建物はそのものを分割して使用するのは不可能です。
のちのトラブルを起こさないためにも、不動産の分与については家族全員の理解を得て相続の方法を決めておきましょう。
〇土地の相続 評価額を調べる
相続財産のうち、不動産の建物は、築年数を経るほどその価値が下がるのは想像がつきますね。
ただ、土地の価格は時世や景気によって変わります。
相続で土地の価格が決まるのは、相続時です。これはきちんと押さえておきましょう。
●不動産は土地と建物を分けて評価する
同じ不動産といっても、その評価額の算出方法が異なります。固定資産税の評価額を計算する時とほぼ同じだと考えていいでしょう。
土地と建物、それぞれに分けてそれぞれの計算方式にならい、相続発声事由が起こった時点の評価額を元に、相続税計算します。
●土地の評価額を導く方法は
土地の評価方法はいくつかあります。
・近隣の売買価格など事例から計算した評価額
・固定資産税の評価額
・公示価格に基づいて計算した評価額
・路線価に基づいて計算した評価額など
この中でも一般的に多いと言われているのは、「路線価に基づいて計算した評価額」です。
路線価×土地の面積(地積)で算出します。
●マンションの評価額算出方法は
マンションの評価額は、一戸建ての時と同じく、土地部分と建物専有部分の評価をそれぞれ計算して相続税額を決めます。
マンション全体の敷地金額を路線価で評価して、所有にあたる持ち分割合に応じて按分します。
この時、マンションの階数や部屋の向きなど、マンションそれぞれの住戸条件は土地評価に加味しません。
〇土地の評価額を最大80パーセント軽減できる特例?
相続税は現金納付が原則です。相続税を支払うために不動産を手放して現金化せねばならない世帯を減らすため、「小規模宅地等の特例」というものがあります。
この特例は、面積条件(上限)などがありますが、その評価金額には制限がありません。適用になる面積は330㎡まで。また、相続する人と元所有者(被相続人)との関係も問われます。
条件を満たせば適用できる特例ですが、地方より関東方面の方が相続税減額効果が高くなります。また、どんなに広い土地でも、特例の対象となるのは330㎡までです。よって、広い田舎の土地を所有しているなら、狭くても都心に引っ越せば税制上お得になりそうですね。
【著 者 長 岡 利 和】