親の遺産を平均に分けられない時の相続額調整はどうする?

相続税の基礎控除引き下げによって、相続税がこれまで以上に身近になりつつあります。相続財産を明らかにして、スムーズに申請ができる様に準備を整えようとする動きも、年々活発になっている様です。
相続で問題となるのは、相続人がそれぞれの持ち分に納得しないケース、そして分与が難しい相続財産をどの様に分けるかかが決まらないケースでしょう。

〇相続争いが起こりそうな分与方法に注意
遺産となるのは、現預金や動産、不動産など所有財産すべてに及びます。そして、相続遺産が多いお金持ちの世帯にだけ相続争いが起こるものでもありません。
分割する財産があれば、その額に関わらず何かしらのトラブルが起こる事を想定して、生前に被相続人はその分与方法をはっきりさせておく事が重要です。

●相続は平均に分けられない事の方が多い
相続をする場合、一応は法律によって「法定相続割合」が決められています。しかし、財産をどの様に分けるか書き記した遺言書には十分な効果があります。
法律で決まっているから、遺書があっても遺産分与があるはず…と思っている人もいるでしょうが、遺言書があれば、記述されている内容は法定相続分に優先します。
血縁で同一の血族なら、平均して持ち分を当たり前に主張できるというわけではないのです。

〇相続税は二度の平均額を見るという考え方
子どもの立場から見れば、相続をする場面は2度訪れます。両親それぞれが他界して、相続事由が発生した場合です。

●相続税額の高さがネックに 配偶者控除の利用
基礎控除額が引き下げられた事で、相続税を納める対象人数もここ2年で大きく変わりました。そんな中、どんな人でも税金支出はできるだけ抑えたいと感じるのは当然です。親の資産を受け継ぐ子どもの立場からみれば、配偶者控除をぜひ使いたいでしょう。
配偶者控除は、控除額が基礎控除額よりずっと大きいのが特徴です。家族の基礎控除では相続税を0にできない場合も、「配偶者控除を申請すれば、ほぼ税額が掛からないからお得だ」という話を聞いた事があるでしょう。
もちろん、配偶者控除を使った後には、もう一人の親を看取らねばなりません。前回の相続税申告時に配偶者控除を申請すれば次回は子どもだけの相続になります。

●二度の相続税額を具体的に計算してみる
一度目で配偶者控除を使わずに多少の相続税を支払った方が、二度目の相続税が安くなるケースがあります。
二度目の相続は子どもの立場からすれば、「父または母の遺産半分を受け取った後の、大きな相続財産を平均して分けたい」遺産です。
相続税シミュレーションをする時は、二度目の相続(こどものみで配偶者がいないケース)を想像しながら、初めの相続をどうするかを決める様にしましょう。

【著  者   長 岡  利 和】


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