モデルハウスやマンションの内覧会に出かけて、理想のマイホームにイメージを膨らませていると、つい家の価格を大きく見積もってしまいがちです。
「マイホームのためなら…」と、購入前から家計を切り詰める覚悟で無理をしては、後に必要となる税金やメンテナンス費用の準備が難しくなり、生活が苦しくなります。
まず、予算ありきで理想の住宅と返済計画をすり合わせていきましょう。ただ、自分の収入でどれほどの融資が受けられるかが分からないまま、マイホームを決める事はできませんね。
そこで、年収と住宅ローンの融資バランスを考えてみましょう。
○住宅ローンは年収の何倍くらい融資してもらえるか?
実際に住宅ローンの審査を申し込む時、融資を受けられる額はどれくらいになるか。審査で問われる年収との関係を探りましょう。
●サラリーマンでも業種によって借入可能額が違う
住宅ローン審査のときに就労状態を確認する大きな理由は「返済に対する指標」です。勤続年数が長い、業界そのものに安定性があるなど、収入に対して信頼度が高い方が融資額も大きくなります。
勤続年数が一年未満の人や、景気に左右されやすいサービス業に勤める人は、審査段階で年収が高くても、融資額そのものは他の業界より倍率が低くなるかもしれません。
●働く業界の年収と融資額が何倍かを比較
安定している職業の代表は「ライフライン供給を行う」企業。水道、電気、ガスなどを供給する企業は公的機関または大手企業の場合が多く、融資額も高くなる傾向があります。
同じく、保険・金融業は年収も高くて融資ランクは高いと推測されます。これらの業界で、住宅ローンの借入額は年収の8~10倍ほど目算が可能。
インフラ整備が急速に進んで、注目を集める情報通信業も同様に8~10倍ほどを見込んでもいいでしょう。
では、サービス業は年収の何倍くらいになるでしょうか。勤務経歴と企業がしっかりと返済に適うと判断されれば、融資そのものに問題はないと考えられます。
ただ、収入額だけを前述した業界と比べても一般的に低くなるのが通例。役職手当などで実際の年収額が高くても、業界で見れば7~9倍程度になりそうです。
○住宅ローン返済方法で年収の何倍かが変わる?
返済方法(元利金等・元本均等、返済期間、ボーナス併用など)によっても、年収の何倍ほど融資が受けられるかが変わります。
元金均等払いのほうが、元利金等よりも月の返済額が大きくなりますので年収に対する融資倍率が下がります。
フラット35や固定金利で融資を受けると、利率が変動の時より高くなるので注意が必要。
「年収の何倍借りられるか」ではなく「月の返済がいくらになるか」を基準に融資額を試算した方が、より現実的な返済額に近づけられるでしょう。
住宅購入の際にローンを組む時は、限度額ぎりぎりで融資してもらう事を考えず、健全な家計を意識する事が大切です。借入れ可能額と返済可能額は違います。
融資を受ける事ではなく、完済する事が最終目標です。年収の5倍以上を借り受けると、月収に占める住宅支出割合が大きくなって、日常生活に支障がでる可能性があります。
返済プランと返済可能額をまずはしっかりと練ってから、住宅ローンの融資相談を受ける事をおすすめします。
【著 者 長 岡 利 和】