マイホームに対する憧れはあるけれど、如何せん結婚もしていないうちに、自分で家を買うなんて…。という発想は今の時代、古い考えなのかもしれません。
晩婚、未婚人口が増えていることとの関係性は明言できませんが、マイホーム購入を検討する独身の人も最近は多くなってきているように感じます。
独身の人が自分の城を購入する、その心理と実際に購入する際の注意点について考えます。
○一生賃貸生活か それともマイホームか
単身者は、自分が住みたいと思うところを自分で選んで、時に環境や仕事の変化で住まいを自由に変えることが出来ます。これがメリットと考える人もいますが、中には「落ち着いた生活をしたい」「ずっと賃料を払い続けるのか」と思う人も少なくない様です。
○家賃を払うならマイホーム 資産を作るという考え
新卒のフレッシャーズがいきなり「家を購入する」といっても、自分の力だけですぐにマイホームを購入するのは難しいでしょう。もちろん現金一括でなら購入は可能ですが、若い時分にマイホームを単身で購入するほどの預貯金を持っている人は、ほぼほぼいません。
しかし、社会的信用を得る頃の独身者(30代あたり)になると、ずっと賃貸生活を続けていくなら、少しでも自分の「資産」となるものに費やしたいと、堅実な考えを抱く人が増える傾向があります。
実際に、ワンルームの分譲マンションはオリンピック景気のためか、特に都心部で価格が高騰しています。自分の住まいと同時に、後の資産として生かすための投資として、不動産購入を検討するための説明会なども多く開催されています。
○一人でマイホームの支払いをするということ
ゆくゆくは結婚して、マイホームにそのまま住まうか。または賃貸物件として投資目的で活用するか…。マイホームを住居プラス投資資産と考えれば、独身であっても購入を決断する気持ちが湧くかもしれません。
ただ、ひとつ注意しておかねばならないのは、夫婦や二世帯、三世帯で支払いをするのではなく、独身の人の場合は「自分ひとりでマイホームローンを返済していく」という点でしょう。
仮に病気やケガをして、数週間から数ヶ月仕事を休むことになれば、自分の収入が途絶えます。家族や親が一緒に生活しているなら、互いに助け合って(時に身内に甘えて)過ごすことも可能でしょう。独身の場合はそれが難しくなります。
家賃生活なら、当面の賃借料が準備できれば、何とか落ち着いた生活が送れるかもしれませんが、マイホームを所有する人は、別途固定資産税や建物、家財の保険も必要になります。
○理想の独身住まいと支払い額を計算して
総じてマイホームの購入費には、税金やローン金利、メンテナンス費など、見えないコストが掛かります。賃借料で住まいを確保すれば、これらの支出はありません。
生涯どれだけの額の家賃を支払って、マイホームを購入したらどのくらいの額を返済していくのか、といった具体的なシミュレーションをすることは大事です。
理想を先行させるだけはなく、現実的・具体的に収支をイメージして、納得のいくような独身住まいのかたちを選びましょう。
【著 者 長 岡 利 和】