年末が押し迫ってくると、マイホームを購入した人にとって、ちょっとワクワクすることがあるでしょう。「住宅ローン減税」です。
購入年の翌3月に確定申告を一度行えば、サラリーマンは次年度以降の年末調整の際に、住宅ローン減税を一緒に申請することが出来ます。
○住宅ローン減税の目的
住宅購入者の購入費負担を軽減するというのが、この控除の目的です。家の購入はそれこそ、生涯に一度あるかないかの、大きな買い物です。購入者に対して国が所得税控除をすれば、幾分か個人の負担を減らすことが出来ます。購入から(購入年度の税制によりますが)10年または15年の控除期間があります。この間は、所得税を低く抑えることが出来るという仕組みです。
○住宅ローン控除の仕組み
マイホームを購入した人が、金融機関などから融資を受けた場合、その年の借入残高または住宅の取得対価のうち少ない方の金額の1%を(現行制度は)10年間、所得税額から差し引くというもの。
ただ、すまい給付金制度との併用は出来ないように、住宅の取得対価の計算段階で、すまい給付金額は控除されます。
○所得によっては住宅ローンが住民税額にも影響
一般的に知られているのは、住宅ローン控除を行うのは所得税から…ですね。この住宅ローン控除は、所得税だけではなく、住民税にも関係するということをご存知ですか?
実は、平成21年の税制改正によって、所得税から控除しきれなかった前年分の所得税があれば、翌年度住民税で控除を行うことになりました。
この制度が施行となった平成21年から平成33年の12月31日までの間に居住を開始し、住宅ローン減税制度を受けた人が対象となります。
○住民税を控除するための手続きは?
所得税は国税、住民税は地方税です。それぞれの納付を管轄する公的機関が異なります。ただ、所得税から控除しきれなかった額は、改めて市町村に申請する必要はありません。
これは、住宅ローン控除を受けるための確定申告(年末調整)を行った人は、その申告情報を市区町村で確認することが出来るシステムが整ったため。制度利用者側(住宅ローン控除申請者)から行う手続きはありません。
○住民税が引かれるか確認するには
年末調整を行った後、企業から源泉徴収票が発行されます。これには、個人の年間総収入額や所得、社会保険料や扶養、控除に関する情報が記されます。
源泉徴収税額の項目欄が0円の場合は、住宅ローン控除が適用になるケースがあります。年末調整が終われば、面倒に感じる手続きが終わった開放感のためか、源泉徴収票をじっくり確認する人は少ないようです。個人所得に関する情報が全て詰まった帳票ですので、機会があったら一度じっくりと目を通してみると良いでしょう。
【著 者 長 岡 利 和】