金融機関の貸付利息が低くなったのは、不景気といわれ始めた1990年代後半から。目に見えた低迷を繰り返し、良くなる兆しも感じられないほど、景気は冷え込んでしまいました。
その景気立ちなおしを根本から改革するために行われたのが「マイナス金利政策」です。すでに不景気な状況になれてしまっている消費者にとって、「設備」や「投資」という消費以外の刺激材料は魅力。
マイナス金利政策によって、市場の貸付金利はどんどん下がっています。数年前にマイホームを購入した人は、借り換えを検討するチャンスでもあります。
そこで、住宅ローンの借り換えをする前に抑えておきたい、メリットとデメリットをおさらいしておきます。
〇住宅ローン金利を比べてみる
仮に今から15年ほど前の、景気がどん底だったといわれる時期にマイホームを購入した人の、住宅ローンと返済推移を見てみましょう。
現在の金利と当時の金利、また契約プランを参考にしてメリットを探ります。
●住宅ローン金利はどう変わる?
一般的に金融機関が勧めるローン金利契約のプランは、「10年固定金利型」です。かつてはフラット35の取扱期間も少なく、審査が厳しいうえに満額ローンを組むことができませんでした。
また「この先どれくらい金利が下がるか想像ができない」こともあり、景気が回復する見通しが立たないうちは、変動金利をすすめた時期もあったようです。できるだけ長期固定金利のものを選ぶという傾向と相反するものの、いずれもが成り立っていました。
例にならって考えていくと、当初2%前後で推移していた住宅ローンは、10年固定期間終了後の11年目以降上昇し、おおむね4%程度にまで上昇する設定になる商品が多い時代でした。
契約当初にはしっかり意識しているはずが、住宅ローン返済が始まると、当初の返済金額がずっと続いていくものだという勘違いが生まれやすいものです。11年目を迎えて突然増えた返済額に驚愕した家族もいるでしょう。
●借り換えで住宅ローンはお得になる?
かつての10年固定金利期間が終了している場合、変動型に移行しているから金利が低くなったと思われるかもしれません。
しかし、契約内容そのものは当時のままで、今注目されている借り換え優遇住宅ローンなどとは全く別のものです。金利以外の条件や優遇ポイントもしっかり比較検討する必要があります。
〇借り換えでお得かどうかはトータルで考える
借り換えするためには、金融機関やモーゲージなど、申込するところでの審査を受けねばなりません。
ただ、備えておくのは審査に対する書類だけでは足りません。融資先が変わることで、付随した多くの手続きと費用が発生します。
●避けられない 住宅ローン借り換えの登記費用
住宅購入の融資を受けるということは、融資先金融機関の第一抵当権が登記されていることを意味します。その融資先が変われば、当然に登記の変更を行わねばなりません。
はじめに購入した当時、登記費用はこんなに高いのか?と感じたでしょう。
保存登記・表示登記などを扱うのは司法書士の専売特許です。法的手続きを整えるための登記費用は、概ね100万円程度かかるものだと考えておきましょう。
【著 者 長 岡 利 和】