マイホームを購入するとき、親や祖父母から資金の援助があるととてもありがたく感じるでしょう。自己資金が全くない人でも、収入如何によってはフルローンで借入することもできますが、やはり金利の上乗せ分を払うより、資金援助があったほうが良いですね。
ただ、身内だからと気軽にまとまった資金を譲渡するのはNGです。贈与税が発生する可能性があります。
〇親から子への援助は贈与税が掛かる
親が子どものためにお金を援助する…というのは、家族のつながりによくあるシーンのように感じます。しかし、現行の制度では、年間110万円以上の援助を受けると、贈与税の対象になります。
●贈与税が掛からないのは
前述したケースに沿えば、年間110万円以下の資金援助であれば贈与税は課税されません。
そして、65歳以上の親から20歳以上の子どもに2500万円までの贈与は、その贈与を行った段階で課税をしないという制度もあります。
〇住宅ローン借入額を減らして贈与税を節税する方法
贈与税は、課税率の関係上、相続税と比べて高額になる傾向があります。このことを知っているからと言って、親が死ぬまで子どもに何の援助もせずに原資となりえる預貯金を貯めこんでしまっては、消費につながらず経済が活性化しません。
そのために、国は「相続時課税制度」という制度を作ったのです。
●相続時精算課税と贈与税
本来は、年間110万円以上の資金援助を行った時点で贈与税が発生します。他人であっても親子であっても、この条件は同一です(贈与税の基礎控除額が110万円のため)。
しかし、住宅ローン融資申し込み時など、頭金としてまとまったお金が必要な時もあるでしょう。特別控除額2500万円以上の部分について一律20%の贈与税がかかる、とするのが相続時精算課税です。
よって、2500万円までの財産には、相続で子供に渡したとしても、贈与で同じく子供に渡しても、贈与税を多額に課税しないという仕組みになっています。
親が子どものために助けてあげたいという気持ちで、安易に資金を援助するのは危険です。何も知らずに情だけで行動を起こさないようにしましょう。
そして、住宅ローンの融資を受ける子どもがいる場合、贈与税や相続税に注意して、親子双方だけではなく、相続関係がある人全員で相続について一度キチンと話し合いをしておくことをお勧めします。
【著 者 長 岡 利 和】