気になる!相続と年末調整の関係 税金の種類に惑わされない

不運にも身内が亡くなり、相続が発生することになった場合に、まとまった預貯金や不動産を手にすることになります。サラリーマンとして働いている人、またその扶養家族は、相続で収入が増えたことに喜ぶのも束の間。
年末調整の話が出るころになると「所得が増えて税金が上がるかも?」「扶養から外れてしまうのではないかしら」と不安そうな声を聞きます。
これから確定申告のシーズンに突入しますが、年末調整を終えたサラリーマンやその家族と相続の関係についてお話します。

○相続の収入増と年末調整は別に考えましょう
会社員として企業に所属して給料をもらっている人は、その所得を企業が取りまとめて申告します。これが年末調整です。副収入がある人は別ですが、給与収入だけの人は例年、年末調整以外の手続きは別段必要ありませんね。
相続事由が発生すれば、相続税の申告をせねばなりません。しかし、これは給与収入による「給与所得の申告」とは別物です。会社が取りまとめて行う所得税の申告(年末調整)と、相続申告はそれぞれ別々になる、ということです。

●相続による所得申告は忘れずに
ただ、給与(所得)と相続による収入は別…ですが、年末調整以外に何もしなくて良いというわけでもありません。自身の収入は相続によって増えているのですから、相続による所得、または不動産所得は確定申告を行うことになります。
年末調整によって給与所得申告は終えていることになりますので、源泉徴収票を添付して、その他の相続・不動産所得を加えた確定申告書類を期日内に(例年3月15日期限)管轄税務署に提出しましょう。

○専業主婦に起こった相続で扶養を外れる?
前年まで年収103万円におさえて働いていた(または無収入だった)扶養家族の妻は、相続による収入で扶養を外れてしまうのか。これも、給与所得と相続による所得は別ものと考えればNOだとお分かりでしょう。
扶養家族として税金の控除を受けられるといった条件は、所得税にまつわるもので、相続税とは無関係です。
ただし、これまで所得税申告は夫の年末調整で完結していた妻も、相続税申告は行わねばなりません。相続によって財産を得た本人が申告せねばならないということは理解しておきましょう。
税法上のきまりや申告は、素人にとって、とても複雑で難しく感じるでしょう。給与所得については、年末調整や扶養家族との関係で見聞きする機会もあります。しかし、相続税を常日頃から考えて全て理解するのは現実的ではありません。
また、独りよがり、または過度に考えすぎると、結果として申告期限を過ぎたり申告漏れをしたりする可能性もあります。相続税についての不安や疑問は、専門家である税理士などに相談して解消するのがいいでしょう。

【著  者   長 岡  利 和】


投稿日

カテゴリー:

最新記事一覧