住宅ローン控除の申告に必要な年末残高証明書とは

年末になると、企業勤めのサラリーマンは年末調整を会社で行います。これは、一年分の所得税申告として、収入を正しく計算するために必要な手続きです。この年末調整に必要な書類は、専用記入書類と保険料などの各種払い込みを行った年末残高証明書です。
一年間の収入から控除対象となるのは、保険料といった生活や保障に対する支出だけではありません。住宅ローン借入についても、収入から捻出する住宅費の補てんを目的に控除が認められています。

〇住宅ローン減税を受ける人に送付される証明書
マイホームを購入するとき、その支出額を計算していると「払っていけるのか?」と不安に思う人もいるでしょう。マイホームを買うか買わないか、その選択は個人収入状態と返済能力に大きく関係します。
マイホームを買わずに一生賃借生活を送るという選択肢もありますが、国の経済レベルで見ると、住宅のような大きな購買が繰り返される方が、経済の活性化にとっていいことは明白。
そこで、国は「住宅を購入してローンを組んだ人に、その負担を少しでも軽減するための税額控除をしてあげる」ことを理由に、現在の住宅ローン減税がスタートしたのです。

●年末残高証明書に書かれている内容は
年末残高証明書には、住宅ローンの契約に関わるいろんな情報が記載されています。例えば、ローン契約日や当初借り入れ額、年末予定残高、償還期間などです。
住宅ローン控除は時限法なので、契約日(年度)によってその適用内容も異なります。現行制度は10年間の控除申請期間がありますが、10年もしくは15年間の控除期間を選択できる時期もありました。これから借入を行う場合、この制度内容そのものが変更になることもあります。

●複数名で借り入れた場合の年末残高証明書
主たる契約者と一緒に、複数名でもって住宅ローンの契約をしている場合、年末残高証明書は主たる契約者のみに送付されます。複数名全員の証明書を発行することは可能です。しかし、この場合、送付先は主たる契約者に対してまとめて送られるのが通例です。
記載内容のうち、ローン残高はいずれの年末残高証明書にも合計(満額)が記載されますので、申告時には注意しておきましょう。

〇年末残高証明と控除適用要件
住宅ローン控除を受けるには、一定の要件があります。借入契約の当初はその要件に沿っていた人も、例えば繰り上げ返済をして償還期間が10年を下回った場合や、減税を受けることができる収入要件をオーバーした場合は住宅ローン減税の対象者から外れます。
ローン償還期間残が10年未満になったら、その時点以降ずっと、当該借入についての減税を受けることは出来ませんが、収入要件は単年で判断しますので、収入が減って再度要件に合致すればその年は控除申請することが出来ます。

●繰り上げ返済のタイミングと住宅ローン
ローン負債が多い人の救済措置として、住宅ローン控除という減税制度が成り立っています。そのため、購入年に住まい始めて、住宅ローン返済が翌年からスタートする人は、居住開始年の住宅ローン控除を受けることが出来ません(まだ支払いが始まっていない為)。
年の瀬にかけて繰り上げ返済をすると、証明書の内容に変更が生じます。
また、ローン残高が一定以上ある、というのがこの控除の前提です。そこで、繰り上げ返済をするなら年末ではなく、翌年の1月や2月など、年始まりに行ったほうが返済残高要件の心配をせずに済みます。

【著  者   長 岡  利 和】 


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