賃貸か購入か。人が住まう家は必要ですが、その住居を借りるか買うかはその人(家族)の決断次第です。とはいえ、今は住宅ローン金利の低さが目立ち、消費税増税の話題も相まって「家賃を払い続けていくのならマイホームを購入してもいいのでは?」と考えている人も多いでしょう。
住宅購入の第一歩は、現実的な資金計画に始まります。まずは、支払っていける住宅ローンの額をリアルに認識して、いくらまでの予算を組むかを計算してみましょう。
○住宅ローン返済だけに着目しないこと
マイホームを購入する際は、物件価格のほかに諸費用が必要です。現在では諸費用を含めたローンを組むことも可能ですが、借りたお金は返さねばならないことは大原則。融資額が膨らめば、金利を上乗せして返済しなければなりません。決して無理はしないという事が大事です。
家賃と同じ額を返済額にすれば良いと安直に考えると、固定資産税の支払いや、特にマンションの場合は管理費や修繕積立金の捻出に困窮することになります。漠然と家賃を基準にするのではなく、毎月の給料手取り額からどのくらいを返済に充てるか。ここをしっかり計算しておくべきでしょう。
○購入可能な住宅と費用内訳の割合は
住宅ローン返済のために手取りの3割以上を持っていかれる計算は、現実的な資金計画と言い辛いですね。仮に手取り30万円のサラリーマン世帯で、住宅ローン返済が10万円を超えるようなら、ライフステージごとのイベント出費(子どもの入卒や進学、結婚、車購入やメンテナンス等)にそなえた貯蓄に回す家計の余裕は無いでしょう。
借入金75%・自己資金20%・親の援助等5%の資金割合配分が、住宅購入資金の理想的なかたちです。物件価格の目安は、頭金+年収(手取り額)の5倍程度が現実的な予算と考えておくと良いでしょう。
○手取り額でやりくりできる住宅ローンの返済を目指そう
住宅ローンの融資額を決めるとき、手取りの収入に加えてボーナスありきの資金計画は避けたほうが無難です。できれば、月の収入だけでやりくりをし、ボーナス支給は貯蓄や備えとしてとっておきたいところです。
ボーナス払いを併用すると、ローン可能額もグッと上昇します。ただ、これから先、ボーナスが必ず支給される・ボーナス額が補償されているという人は多くありません。
働き方改革が行われたり、一昔前と比較しても働き方そのものが大きく変わろうとしていたりする時世です。給与システムが変更されたからといって、住宅ローンの当初契約が覆ったり気軽に変更されたりする訳でもありません。
将来の自分と家族がどんな風になって、どれほど手取り額が変化していくのか。資金計画の見通しをしっかりと持って、現実的に無理なく返済することができる程度の物件を選ぶようにしましょう。
【著 者 長 岡 利 和】