国民の消費が落ち込む、企業の設備投資を控える傾向が根強い…など、景気にまつわる話題が日々後を絶ちませんが、マイホームの購入についても同じことが言えます。
マイホームを買うという決断は、並大抵の覚悟では望めません。一生をかけて数千万円の借金を、それも個人が負うことになります。
もちろん、購入をせずに家賃生活を営むという選択もあるのですが、景気を刺激し、経済を活発にするためには、やはり大型消費が増えることのほうが望ましいのです。
そんな国勢と景気の動向を示唆して、国が施行しているのが「すまい給付金」制度です。
○住まい給付金のあらまし
2014年に、消費税増税論議が活発になり始めたことを受け、増税後のマイホーム購入者が激減することを避けるためにこの制度が成立、施行されることになりました。
ただし、増税論議に決着は未だついていません。当初は8%または10%に増税したその節目でマイホームを購入した世帯(住居費用返済契約者)に対して、増税差額分を補助する目的で給付を行うとしていました。
要は、「消費税引き上げに伴う住宅購入費増額補填のための経過措置」ということです。
○マイホーム引渡しと消費税率の関係
マイホームを購入するときに注目しておかねばならないのは「いつの税率が適用されるか」です。中古住宅や既存集合住宅など、引渡しまでに時間をさほど要しない住宅は、大きな問題になりませんが、注文住宅などといったような、依頼から完成引渡しまでに数ヶ月もの時間がかかる購入物は、契約時と引渡し時で税率が異なる可能性があります。
●消費税の引き上げタイミングとマイホームの税
消費税をマイホーム購入費用に乗じる時は、経過措置として増税の半年前の指定日前日(平成31年3月31日)までに契約したものは、従前の税率を適用します。引渡し日が増税後であっても、その前半年の間に契約したものについては消費税率8%で良いですよ、ということです。
○マイホームの購入時期と住まい給付金対象期間
かつて消費税5%から8%に増税された時分から、この住まい給付金制度は運用しています。現在の状態でいえば、平成26年4月引渡しから平成31年10月の期間は(5→8%)8%で、平成31年10月以後は(8→10%)10%を乗じることになります。
すまい給付金制度は平成33年12月で終了しますので、この間に「増税後の率が適用されたマイホーム」に対して給付を行うことを示しています。
○給付金の額を決める基準は
マイホームの支払いを行う人の市県民税所得割額基づいて、給付金額は異なります。収入を示すものは源泉徴収などの額面収入ではないということをおさえておきましょう。
給付額は、給付基礎額に持分割合をかけて算出します。収入が低ければ低いほど、住居費負担割合は大きくなり、生活と返済に使うお金に困窮します。よって、収入が低い人を手厚く保護するという目的で給付金が決定されます。
収入450万円以下であれば、上限50万円の給付基礎額を受け取ることになり、収入目安はかつての増税時と比べて細かく設定しています。
【著 者 長 岡 利 和】