相続税課税対象者が、平成27年の法改正によって拡充される見通しとなったことは、不動産や相続財産を所有する被相続人とその家族にとって、大きな生活の転機となったことは言うまでも無いでしょう。
ただ、これまで相続税について「他人事」として過ごしてきた人たちがいざ、税金の納付について考える場合に、何からどう手をつけて良いか全く分からないと不安になるのも仕方がありません。
〇相続税についての情報と内容を公開 基本通達
相続税にまつわる基本通達の全ては、国税庁のホームページに掲載をされています。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01.htm
税金の課税対象者やその内容、基本課税対象物と控除、特例措置についてなど、相続税に限らず、所得税や贈与税、法人税、消費税、印紙税、酒税といった間接税法にいたるまで、国民の納税にかかわる法の内容を閲覧することができます。
法令はその時々で、改正や変更、削除等が行われます。常に最新の情報を必要としますが、一般的にその改正点・変更部分をタイムリーに知ることは非常に難しいものです。
また、法律は過去の事例や独自の解釈元に事が進みます。個人の考え方や思い込みで「こうだろう・こうなるはずだ」という前提を元にすると、法に照らし合わせたときに思いがけない誤算をしてしまうことになります。不明な点は専門家の指示を仰ぎ、少しでも分からないことは税務署等に相談するようにしましょう。
〇相続税法とは
全7章、第63条で構成されています。現在では平成29年9月の改正までを国税庁ホームページに掲載しています。
気穂運通達を掲載している国税庁公式サイトと、その内容を一目すると、相続税は贈与税と密接に関係していることが伺えるでしょう。
第一節に相続税が、第二節に贈与税が併記されていますが、そもそも相続や贈与といった問題は、その多くが事業継承や株式・法人の相続について起こりえると解されていた節がいまだに強く感じられます。
●基本通達で着目すべき点の関係
元となる相続税の解釈をどのようにしたら良いかが分からないとき、この基本通達の事例に沿って、問題となっている事柄と照らし合わせて摘要範囲を考えていかねばなりません。
原則となる法律をどの部分になぞらえて解釈するか、それぞれに起こりえるシーンを想定して列挙しているQ&A(またはハウツー)の解説だと思えば分かりやすいでしょう。
特に、不動産所有や預貯金などをどのように遺産分割するのか不安に思う個人の場合、贈与と相続時清算課税や配偶者控除、財産評価、申告提出義務などの項目を一読しておくと良いかもしれませんね。
とはいえ、初めて閲覧する人にとっては、法律ならではの言い回しや迂回するような文章にもどかしさも感じるでしょう。どうしても理解が進まないときは、相続についての相談を得意としている税理士や弁護士を頼って説明を聞くのが、正しい解釈の近道です。
【著 者 長 岡 利 和】