不動産売買や賃貸に源泉徴収の提出は必須か?

土地や建物など、不動産にかかわる契約を行うとき、売主または仲介業者が源泉徴収票の提出をお願いすることがあります。
個人情報が満載の徴票を提出させるのはいかがなものか?と、怪訝な表情をされるお客様がいるのも事実です。
しかし、不動産の売買は、日常で行っているような買い物とは訳が違います。
契約書を交わす以上、いろんな保証や担保を求めるのは珍しくないことだという点を理解しておきましょう。

〇不動産の取引に必要な「信用」
土地や建物を購入したいと考えている人は、おおむねその不動産を自分で使用するか、または収益の為に活用するか、のいずれかの目的を持っているでしょう。
そして、不動産を必要としている人が皆、同じように当たり前に購入することができるか、と問われれば、だれもが「購入できるだけの準備があれば」と答えるでしょう。
動産を購入するための準備とは、すなわち支払い能力のこと。
預貯金で一括返済が可能な人には、おそらく売り手側も源泉徴収票の提出を求めないでしょう。
売買が完結すれば問題はないのですから。しかし、これから月賦で支払っていこうとする人の返済能力をいかにして計るかが問題なのです。
要は、支払い能力に対する信用度をはかりたいのです。

〇不動産売買と源泉徴収の提出にある関係性は
土地や建物は、購入する側にとって数十年かけて支払っていく覚悟を伴う買い物です。
購入者の立場としては、「がんばって払っていきますから」という気持ちをもっての事でしょう。
しかし、自分の資産として大切に守ってきた、または相続などの事由によって思いがけず不動産を手にしてしまった人にとって、やはり売却は慎重に行いたいし、できれば身の保証がある人に、適切に購入してほしいと願っているはず。
源泉徴収票の提出が可能な人は、企業に属すサラリーマンということが一目でわかります。
また、その内容を見れば、一定のサラリー(収入)があり、家族構成も一部認識することができます。
毎年当たり前のように受け取り、その使い道がわからない…とも思える源泉徴収票が、不動産売買の際には思わぬ後ろ盾となるのです。

〇不動産賃貸契約の時にも源泉徴収が必要か
時に、「買うわけじゃないのにアパートを借りる目的で不動産会社に行ったら、源泉徴収が必要だといわれた」という声を聞きます。
不動産会社によって、どこまでの書類を求めるかは異なりますが、やはり、借りる人がきちんと家賃を支払っていけるかどうかの見極めは必要です。
特に、学生が就学中にアパートを借りるとき、その支払いは本人ではなく家族が行うことが十分に考えられます。
そのため、保証人となる人を立て、その保証人の支払い能力を見るためにはやはり源泉徴収や所得証明で確認するのが的確でしょう。
一部、契約書に虚偽の内容を記載してしまうような人がいるのも事実です。
そのような人がいなければいいのですが、やはり確認すべきところはしっかりとチェックする…というのが、賃借人にとっても、もちろん不動産会社にとっても信用の基盤となるものだと考えます。

【著  者   長 岡  利 和】


投稿日

カテゴリー:

最新記事一覧