固定資産税の納税義務者に変更があったら

土地や建物を所有している人は、「固定資産税納税通知書」を受けとっているはずです。
この通知書を発行するのは、不動産や償却資産を管轄する市町村や区などの自治体で、固定資産税台帳に基づいて管理をしています。
ただ、この台帳に記載される所有者はその年の1月1日時点のもので、課税対象者(納税義務者)を表します。
仮に、期の途中で所有者が変更したときは、どのような扱いになるでしょう。

〇不動産を共有している場合
償却資産と合わせて、不動産の所有を複数人で行っているというケースもあります。
共有名義で土地や建物を所有管理している場合です。
納税台帳には、共有や持ち分に関わらず、すべての人が納税義務者として掲載されます。
ただ、納税通知書のあて名は、代表者名一名外〇名といった書き方になり、通知書自体も代表者一名に対してのみ送付をします。

〇期の途中で不動産を購入した場合
1月1日を過ぎ、年内任意の日を指定して、土地や建物の売買契約を結んで登記・届け出をした場合、不動産の所有者が変更されます。
一年中、その所有者変更の届けや登記の変更は受け付けられますが、不動産に対する納税義務は法律上、やはり1月1日の所有者以外にありません。
変更した翌年の年始になって、初めて(管理上)は所有者および固定資産税の納税義務者変更が受け付けられるというのが通例の流れです。

〇もし固定資産所有者が死亡したら
土地や建物の所有名義人が死亡した場合、現に所有する法定相続人が、その納税義務を引き継ぐことになります。
複数人の相続人が存在する場合、その中で代表者となる人を届け出します。
納税通知書で税金を納める際に、市町村窓口で「固定資産税納税義務者および代表相続人申告書」を提出して手続きしましょう。
この書類は、法務局の登記や税務署の相続税手続きとは別のものです。
諸手続きはそれぞれで適時行う必要があります。
固定資産税の納税は、その不動産が賦課期日に存在している限り、所有者または所有者と法的にかかわる人に対して課せられます。
売買等で所有権が移転した場合であっても、課税基準日に変更はありませんので、売却した固定資産税の支払いは忘れない様にしましょう。
売買契約書内に、期中の固定資産税に対して支払い按分する条項を加える場合がほとんどです。
購入者(買主)が納税を行うのは次年度以降です。
当期中分の税金を納めることになる売主は、期限内にきちんと完納しましょう。

【著  者   長 岡  利 和】


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