土地や建物といった不動産は、所有または占有して使用します。
ただ、不動産を所有しているという権利を他人(第三者)に主張する(自分のものだということ)ためには、登記をする必要があります。
不動産売買の契約そのものは、別段登記を必要条件としていません。
他人のものであっても売り買いをすることができます。
ただこれは契約上の話。他人の物を勝手に売ったり買ったりされては、当の所有者はたまりませんね。
第三者にきちんと「自分の所有している不動産ですよ」という証明となるのが登記です。
購入、譲渡をしたら登記の変更を行いましょう。
〇不動産登記の変更をするタイミングは
土地または建物もしくはその両方の売買をするとき、代金の授受と引き渡しを同時に履行(行うという意味の法律用語)するのが原則です。
先に代金を支払ったのに、引き渡しを受けないまま売主がどこかへ雲隠れ…このような事態を避けるために、同時履行をするというのが暗黙の了解です。
しかし、登記の変更手続きには時間が掛かりますし、買主もまとめて一括で代金を支払うほうが稀でしょう。
そこで、売買代金から手付金を差し引いた残額を支払う時、住宅ローンを利用するなら融資実行の時に、売主から所有権移転登記をしてもらうことになります。
この変更登記をするための手続きは、司法書士に依頼をするのが一般的です。
残金支払いの際に、司法書士に立ち会ってもらって、権利証・印鑑証明書などの必要書類を売主から司法書士に渡されたことを確認してから残金を支払うようにしましょう。
〇土地の所有権移転をする場合
既存の持ち主から、土地を購入する際には、買主(の代理をする司法書士)が所有権移転登記の申請を法務局に行います。
この時に、変更登記申請に必要な登録免許税を合わせて納めます。
登記が完了すると「登記識別情報」が買主に渡されます。これはかつての権利証に相当するもので、現在は12桁の番号で管理され、目隠しシールが張られています。
次に登記をする際に必要となるものなので、シールははがさずにきちんと保管しておきましょう。
〇建物を新築した場合の不動産登記申請は
中古住宅を購入したら、土地の所有者変更に伴う手続きと同様に建物の登記も変更が必要です。
ただ、新築住宅の場合は、建物の表示登記と保存登記をそれぞれ行わねばなりません。
表示登記とは、「新たに不動産が発生した」と登記簿に登録をされるもので、登記事項証明の表題に当たります。
建物を新築したら、この表示登記を1か月以内に申請しなければなりません。
保存登記は、その建物に関する権利関係を示すもので、登記事項証明の甲区に記録されます。
住宅ローン融資を受ける場合には、融資先が第一抵当権者となりますので、同欄に融資実行をした金融機関の抵当権設定登記が記載されます。
登記の変更や表示に関する申請を行った際は、登記手続き完了を確認するために、法務局で登記事項証明書を取得してみるといいでしょう。
【著 者 長 岡 利 和】