一軒家を所有するには、建物と合わせて土地の所有が必要です。
これはマイホームの購入を検討している人なら当然に考えることですが、なにより不動産取得の価格が不安定かつ高額なのが、この土地です。
建物は、一度住まい始めるとその瞬間から価値が減少していきます。減価償却の期間が設定されている不動産は、購入時価格の判断もしやすいもの。しかし、土地は購入時期や開発計画、景気やその時々の時勢によって、価格が変動する不透明さがネックです。
〇マイホームと庭の敷地バランス
関東近郊の市街地に住まう人が、不動産を取得するときに最も費用を捻出するのは、やはり土地購入代金。上物は、購入することができた土地の広さに合わせて設計すれば良い…という逆転の発想からか、ここ10年ほどは「快適性」「合理性」を追求した「狭小住宅」の人気が高くなっています。
敢えて市街地で生活する必要がない、郊外で広めの家に住みたいという人はベッドタウンに、少しでも利便性が高い市街地で生活したいという人は新興地に、という二極化が進んでいるように感じます。
●「マイホームに庭は必要か」という考え方
狭小地に家を構えようとする世帯は、まず庭の存在を考慮しません。庭がない=敷地幅奥行きすべてを建物に使うための条件をかなえる考えに尽力するでしょう。
市街地に住んで車を必要としない生活が実現できそうなら、駐車場は必要ありませんが、地方に住んでいて、移動のすべてを車で行っている人は、必要最低限の駐車スペースを確保するべきです。
また、子どもが多くすむ地域であれば、ある程度庭の広さを確保することで、日常の騒音をある程度軽減することができるでしょう。
〇相続を想定して庭の広さを決める
親族が所有している土地を分筆して、マイホームを新築するというパターンもありますね。
親族から土地を譲り受けるときに「身内の体裁を考えた広めの分筆」をするご年配者もいます。かわいいわが子や近しい人に、喜んでもらいたい、広い庭がいいに決まっているという配慮や親切心は大いに理解できます。ただ、譲り受けた側からすれば、有難迷惑ということになりかねません。
不要であろうが一筆の土地を所有する人に対して、税金が発生します。不要な部分を切って売ればいいという簡単かつ手軽なものでもありません。
何より、現在施行されている小規模宅地等の評価減特例を受けようと思っても、その広すぎる庭のせいでメリットが薄くなることも考えられます。
見栄や体裁から「多めに(大きく)」ではなく、一次・二次相続まで想定しながら「不要な出費をさせない親切心」から逆算して、庭の広さや敷地面積を決めるのが最も望ましいと言えるでしょう。
【著 者 長 岡 利 和】