不動産を無償か低額で資産移転が行われた場合に、取得費の計算と収入金額の計算に特別取り扱いがされる場合があります。今回は、無償や低額で不動産譲渡が行われた際の所得にまつわる税金と課税にスポットを当ててみていきましょう。
■収入金額の計算の特例
不動産(土地・建物)を主体とする資産を無償譲渡したり贈与された場合や、低額で譲渡した場合、収入金額の集計において特別な取り扱いがされ、時価に相当する資産譲渡があるとみなされて課税される。この仕組みを、みなし譲渡所得課税といいます。
■みなし譲渡所得課税とは
不動産譲渡の場合は値上がり益・売買差益に対して所得税が課税されますが、課税の公平を保つため、みなし譲渡所得課税が導入されています。不動産資産を譲渡や贈与、遺贈や相続したり低額譲渡した場合にも、収入金額の計算上の特例とし時価による資産の譲渡が行われたものとみなし適応されます。この課税の趣旨は、課税の公平を最終的な目的としており、無償譲渡などのしくみを上手く利用して不正に租税を回避する人が居ることから、回避撲滅の目的で制定されました。また低額譲渡は、譲渡時の価額の半分未満の金額に相当する譲渡とされています。
■取得費の計算の特例
無償や贈与など、また、低額で資産譲渡した際も取得費に特別な取扱いがされます。課税繰延により譲渡を受ける側が譲渡する側の取得費を引き継ぐ仕組みで、譲渡する側は課税繰延により課税対象にはなりません。
■取得費の引継ぎ課税繰延
課税繰延は、今現在の課税を見合わせ将来想定される状況などをみて課税する制度です。具体的に課税繰延を示すと相続や贈与や遺贈により取得した資産に付き譲渡を受ける側が譲渡する側の取得費を引継ぐ形で行われることを取得費の引継ぎと言います。譲渡する側に対する課税を見合わせ譲受人が取得費を引継ぐかたちがとられます。
■引継ぎ条件
取得費の引継ぎ課税繰延が利用できる条件として個人、対、個人に相続や贈与や遺贈する場合のみとされています。この場合、譲渡する側にはみなし譲渡所得課税は行われませんので注意しておいてください。具体的な例として、個人に対し、相続や遺贈や贈与としての無償の譲渡を行ったケースでは、対個人による低額譲渡で譲渡損が生じていて、限定承認相続や包括遺贈、限定承認に遺贈する場合は、譲渡者にみなし譲渡所得課税が適応されます。この場合の課税は、双方、取得費を引き継がず、その相続時や遺贈時における時価で取得したものとみなされます。
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