住宅を新築するとき、また中瘀住宅を購入するときに、慎重に選択したいのが設備機器選びです。
中古住宅販売の場合は、メンテナンスの意味を含めて、水回りや付属電気機器(エアコンなど)を新調してリフォームした状態で引き渡す契約をする場合があります。また、リフォーム前提で中古物件の購入を検討している人は、現状の設備がどの程度老朽化していて、どの設備を取り換えるべきか、確認に慎重になる部分です。
長い目で見たマイホームのセレクトポイントについて考えてみます。
○必要な機能を見極めて選択する
マイホームで生活するうえで、冷暖房機器や給湯器、システムキッチンなど、住宅設備機器は毎日使用するもので欠かすことはできません。電動システムや自動温度調節機能が備わっている商品も増えて、きめ細やかに生活を支えてくれるため、便利さを追求すればどれも魅力的に見えてきます。
ただ、付加価値が多いものは価格が高くなるのも必然です。いくら便利でも自分たちが使わない機能であれば宝の持ち腐れ。どうしてもランクの高いものは良く見えますが、機能を追求するあまりに、トータルの設備機器費用が予算を大きく押し上げてしまうことになってしまいかねません。
○設備機器の寿命はマイホームより短い
毎日便利な生活を支える住宅設備は、使用した分だけ古くなります。これは当たり前のことですが、正常に作動していたはずの設備が、突然動かなくことも想定しておかねばなりません。キッチンなら10年程度、お風呂は10~20年、トイレは5~10年程度、給排水は15年ほどが取り換え時ともいわれています。マイホーム寿命より圧倒的に短いのです。
いずれは取り換えるべきものだという考えをもって、物件に備わっている設備機器の状態を確認しておくと、取り換え時に慌てずに済みます。
○注文住宅に多い特注モデルは注意を
中古販売している一戸建てやマンションに最近増えてきているのが、注文住宅やデザイナーズハウス・マンションです。施工主がこだわって設計と設備の選択をして、理想を盛り込んだ住宅は、マイホームにあこがれる人にとっても価値と魅力を感じるでしょう。
しかし、設計時の採寸に合わせて特注した設備機器や、スペースを有効に生かすために外注されたオリジナル性の高い水回りなどは、中古住宅として購入するときは失敗のもととなりかねません。
建てた人のこだわりに100パーセント共感して、その物件を購入すれば最も理想的ですが、譲り受けた人にとって、何かしらの不具合や不便を感じる箇所はあるでしょう。加えて特注品やオーダーメイド機器は、取り換えの際に大きなコストとなります。できれば汎用品を上手に組み込んだマイホームを選びましょう。国内で販売している標準仕様の普及品を設置している住宅を選ぶと、メンテナンスや取り換えがスムーズです。
マイホーム選びは外観・内装・設備・(中古住宅なら築年数)のすべての状況を見て決定します。設備は建物より寿命が短いので、そののちのメンテナンスや入れ替え、買い替えを見越して選択するようにしましょう。マイホームの改修は一件につき1度2度の程度ですが、設備機器は種類も多く、その分予算もかかります。ランニングコストも含めて、住宅設備に注目したマイホームも選択基準に加えるとよいでしょう。
【著者 長岡 利和】