住宅を新築すると、どの家屋にも固定資産税が課税されます。市町村によって異なりますが概ね1.4パーセントの割合で以て、課税評価額に乗じて算出されます。この評価額は市町村担当者が新築物件完成の折に、独自の判断基準を用いてその家の価値を金額に落とし込んで計算されます。
実際に建築費用に掛かった金額をもとに計算をするわけではありませんので、その新築物件の間取りや備えている設備によって評価額を一律に定めることになります。お得に設備を備えて賢く新築することができたなら、評価額は実際の取得価格よりも高くなりますし、住宅メーカーのパッケージによっては、かかった住宅建築費よりも低く査定される場合もあるということです。
総務大臣が定める固定資産評価基準に基づいて、その家の価値を評価するのですが、実際に評価額がいくらなのかは、送付される納税通知書に同封される課税標準税額表や、市役所で発行する固定資産台帳で確認することができます。
○課税対象者は
その年の1月1日時点で、登記謄本上に記載されている土地建物の所有者に対して課税される市町村税です。中古物件の売買を行った場合は、その年の1月1日が起算日になるため、年の途中で売買と引き渡しが行われたとしても、課税対象者は年始時点つまり、前の所有者となる場合が多くなります。
登記謄本上の所有者が期の途中で変わったことによる、割合計算もありませんので、納税義務者は一年分を納付することになりますし、仮に年の瀬に新築住宅の引き渡しを受けた場合もその年一年分の課税額を満額納めることになります。
○固定資産税優遇措置は継続
かねてより、新築住宅の課税額から一定割合を軽減する措置が取られていましたが、平成28年も年度税制改正によって引き継がれ、平成30年まで同様に軽減されることが決定しています。
主要なものでは、新築から3年目まで戸建て課税額を二分の一に軽減する、5年目までマンション住宅課税額も同様に減額する、というものです。いずれも一戸あたり120平方メートルを限度としますので、これを超える戸建て大住宅を新築した場合などは、課税標準税額×1,4パーセント×0.5(二分の一)の単純計算とならない点は理解しておきましょう。
○長期優良住宅に対するその他税制軽減
新築物件の固定資産税が軽減される措置は、継続して適用されていますが、固定資産税にだけではなく、耐久性に優れていて保全や維持管理が適切に行われると認められた住宅に関しては、登録免許税や不動産取得税の軽減を行うとする「認定長期優良住宅の特例措置」も同じく平成30年3月31日まで延長されることになりました。課税標準税額から控除される基礎額が一般住宅より高く、固定資産税優遇の適用期限も住宅、マンションともにそれぞれ2年間延長されます。
家を新築する前から、様々な費用が住宅本体以外に発生しますが、新築して引き渡しを受けてからも、ローン以外に税金など一定の費用が発生し続けます。コスト管理を考え、税制政策や優遇措置の情報を常に意識しておくことで、負担軽減につながる場合もありますので、しっかりとチェックしておきましょう。
【著者 長岡 利和】