空き家問題の現状とこれから

全国各地、特に過疎化地域で近年深刻な話題として、各種メディアでも取り上げられる機会が急増しているのが、住宅の空き家問題です。
放置された空き家の近隣住民から、倒壊の恐れや治安の悪化原因となるという理由で、各自治体は苦情や問い合わせを受け、その対応や処遇に困惑していると言います。
2013年調査によると、賃貸住宅で入居していない物件や、建て替え前提の空き家も含むと全国に820万戸もの空き家があるという結果も公表されています。(平成25年総務省統計局「住宅・土地統計調査」より)

○空き家の増加傾向は止まらない

現在、全国にある住宅の実に13.5パーセントが空き家の状態となっていますが、(同調査より)今後も空き家は増え続けるのか。これについては、空き家が減少に転じる要因はほぼ無い、と言っても過言でないほど事態は深刻と言っても良いでしょう。

●人口減少と核家族化 昭和からの時代背景

団塊世代が経済を支えてきた、昭和の終わりから平成20年ころにかけては、一戸建ての建設とマンションの急増に加えて、家族の住まい方が大きく変わった時期でもありました。高齢者が一緒に暮らす世帯が1990年代前半には62パーセントを占めていましたが、2013年には45パーセントにまで減少しています。同時に、高齢者の単身世帯が16パーセントから27パーセントに増加したという調査結果があります。これは数字が表す通り、核家族化による一世代世帯が増え、子どもが独立して、リタイアした後は高齢者夫婦のみの世帯になり、配偶者に先立たれてひとり高齢者世帯が増加しているという事になります。

●今ある空き家にとどまらない 増え続ける要因は

高齢者の一人暮らしが増加している、これはすなわち、空き家予備軍が増えているということです。2013年現在、高齢者の夫婦のみの世帯は全世帯の28パーセントを占めており、高齢者一人住まいと合わせると、現在の総住宅戸数の55パーセントが高齢者のみの住宅となります。
医療の発達と生きがい探求の高齢者ライフの推進により、平均寿命は伸び続けているとはいえ、近い将来には現在の高齢者世帯が空き家にとって変わるという可能性も想定できます。

○放置せず活用する方向性を探る

現在の空き家問題は、これから更に深刻さを増すでしょう。空き家問題を解消する為に、各自治体レベルで、地域の活性化とからめた「空き家バンク」を設置しているところもあります。これは、空き家を購入したい人と売却したい人のマッチングを計り、更に地域への移住を促すという活動で、地方への移り住みを検討している子育て世帯からも注目されています。

現在、空き家は増加傾向にありながら、その半数以上が高齢者世帯です。今後更に増続ける可能性が非常に高い今こそ、空き家を有効に活用する手立てと仕組みづくりを、県や市町村ひいては国を上げて取り組まねばならない大きな課題でしょう。


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