持家を空き家にしないために 前向きな住宅の利用法とは

各都道府県で、特に過疎が進行している地域では空き家問題がクローズアップされています。空き家と認定されてしまうと、自治体の条例で指導や勧告を受け、処分を迫られることになります。
相続や遺贈で所有している持家を空き家にすることなく、有効活用する手段を検討している人は、さまざまな制度やサービスを利用して、持家を活かす方法を探ってみましょう。

○持家を放置したらどうなるか

核家族化が進むにつれて住宅が増え続けた結果、住まう人がいないまま放置された空き家が急増しています。これに対処する為に、国は「空き家等対策の推進に関する特別措置法」を2014年11月に制定しました。2015年5月からすでに全面施行がスタートしています。
この法律に則って、各都道府県や市町村は独自で調査をし、適切な管理が行われていない・周囲の景観を著しく損なう空き家は「特別空き家」として厳しい処分を行えるようになっています。
ガスや水道が止まったままの住宅は、自治体が所有者を調べて立ち入り調査を行う権利を有し、放置が不適切だと判断されれば所有者に対して修繕管理や解体の助言と指導を行います。
空き家が存続している土地は、200平方メートルまでは固定資産税が6分の1まで、都市計画税は3分の1まで軽減される措置がありますが、更地にしてしまうとこの軽減措置は受けられずに税金が大幅に上がってしまいます。最近では、週末に田舎暮らしを楽しむ人や、余暇を利用して別荘感覚で農村住まいをするというニーズも高まっています。特定空き家に認定される前に、人の住むことができる状態に修繕し、賃貸物件として人に住んでもらえば、建物の腐食の進行も抑えることができて、持家を活用できます。空き家解消のために、借りたい・売りたい人の相互をマッチングするサービスを行っている機関もありますので、活用の道を探ってみるとよいでしょう。

○住んでいない所有マンションは付加価値ある賃貸物件に

実家のマンションがあるが、今は自分の建てた家で同居しているので誰も住んでいない。売却したいが価格に折り合いがつかない。このような悩みは中古マンション所有者につきものです。世帯向けマンションは、新築物件のほうに引き合いが多く、単身者用マンションと比べて次の購入者を見つけるのが難しい状況にあります。
一部間取りを変更して、自由に手を加えることができる物件は、今若者に非常に人気がありますので、賃貸物件として家賃収入を得るツールにするのも一つの方法です。また、リノベーションの依頼をして、今風の雰囲気を漂わせる魅力ある物件に変更すれば、中古の物件も充分にニーズが高まります。

持家を新たに活用するという発想の転換で、資産を活かしながら所有する・価値を高めて売却するという方法を取り入れてみると、使わずに放置し続けずに済みます。せっかくの持家がそのまま朽ちてしまう前に、ひと手間加えることを検討してみてはいかがでしょうか。

【著 者  長 岡  利 和】


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