国は、ゼロ金利政策によって景気回復を刺激し、不景気という言葉すら日常になってしまった現在の経済を刺激しながら、物価指数や所得・給与水準の向上を図ろうとしています。
住宅購入を検討している人にとって、住宅ローンはその後の人生の中でもお金の使い方を左右する大きな負債です。購入金額が数千万単位となる住宅取得に依って、そののち何十年もの支払いを続けることになります。
何十年もの期間、返済を続けていく住宅の購入費にかかる金利は、金額にすれば、積算で実際の元本の数十パーセントにも値するほどの巨額となるのは想像がつくでしょう。
住宅ローン金利が、仮に0.1パーセント下がれば、トータルの返済額は(返済期間によっても異なりますが)数十万円、または数百万円単位で変わってきます。
○ゼロ金利の歴史
金融政策におけるゼロ金利は、何もここ数年突然に湧きでたことではありません。バブルが崩壊し、一気に不景気へと転じた1995年以後、経済を刺激する為の政策を講じても効果が表れるどころか、負の結果しか残せなかった時代に、経済刺激(特にこの時期は企業の大型設備投資を刺激するという意味合いが強かったのですが)1999年にゼロ金利政策、2001年には量的緩和を打ち出しました。おりしもこの期は、不景気への転換とその影響が多方面へ浸透し始めた期で、企業の大型倒産も頻出するほどの急降下に、金融政策がなかなか追いつかないという結果が常でした。
○現在のゼロ金利政策から更にマイナス金利へ
2016年2月、国内金融政策がマイナス金利へ移行して、各長期金利が過去にないほどの超低水準で推移している処に、2016年7月に起こったイギリスのEU離脱派勝利。世界経済が混乱を始めるきっかけとなりそうなこのタイミングで、実は日本の長期金利が更に低下しています。
●マイナス金利がフラットにも影響?
各金融機関で史上最低金利を更新し続けていますが、実際には日本経済のそれぞれの経済指標や実態リサーチの結果から、大きな景気回復要素は見えていないのが実情です。さらなる金利低下を景気の起爆剤として狙っている国政は、2016年7月にマイナス金利の規制緩和も発表しました。前段階で、同月各金融機関の長期金利は過去最低を更新しながら、イギリスの情勢が経済要素として加わり、全体でそれまでの金利から更に0.2パーセント低下しました。
事実、フラット35は初の0パーセント台に突入。モーゲージやweb限定借り換え等のサービスを併用すると、10年固定で0.4パーセントという有りえない金利水準になりました。
○今後の長期金利はどうなるか
これまでのマイナス金利政策を、2016年7月に規制緩和すると発表したことで、同政策の打ち切りや縮小は当面ないと思われます。更に金利の引き下げが続くかという点は実際にどこまで進行するか、銀行の経営やサービス分野においても死活問題となりかねませんが、低金利が長期化する要素が揃っていると言っても良いでしょう。
【著 者 長 岡 利 和】