夢のマイホームを購入しようと、あれこれプランや設計を見ていると、始めはその購入金額に不安を感じますが、次第に感覚がマヒしてしまう・・・というお客様も多いです。
毎日の生活の中で数十万円を支出するのは、とても大がかりなことのように感じます。ただ、これが住宅選びの途中や、マイホーム購入価格や諸費用を眺めている時間だけは、気が大きくなってしまいがちです。
自分の一生の中で、一度きりかもしれない大きな決断の時、長い人生を共にする住まいだからと設備を充実させて、理想を次々形にしていくと、返済が始まったとたん資金繰りに困窮することになりかねません。
○年収いくらならマイホーム購入OKか
家を買ったものの、支払いができずに手放してしまう事ほど悲しい事は有りません。自分の年収で住宅の購入と返済が可能かどうか、一度現実的な数字を考えて、生活をシュミレーションすることが大切です。
●住宅を購入した人の平均年収は
国土交通省の住宅市場動向調査によると、注文住宅・分譲住宅・中古住宅・リフォーム住宅それぞれの購入平均年収は、おおむね600万円前後という結果があります。
全国的な平均年収600万円というラインは、年齢的に30代半ばの人が多く、この年齢あたりでマイホーム購入を検討する人も多いようです。
●年収5倍が購入価格の限度
長い人生の中では、年収が上がる時期や子どもの成長段階でまとまったお金が必要な時期など、お金にまつわるライフステージがいくつかあります。
一般的には、年収の5倍程度がマイホーム価格の上限基準と言われますが、購入する人それぞれの家庭状況に依って大きく異なります。
自分のライフプランに合った返済金額をきちんと計算し、無理のない償還をするという事を忘れてはいけません。
理想の住宅を思えば、購入時に「月々これを我慢すれば大丈夫」「ボーナスも併用するから問題ない」という考えに走ってしまいたくなります。それならば、金額を上乗せして理想を叶えるのではなく、住宅購入の相談や話し合いの中で、きちんと予算意識を持って、予算内で設備を整えられる工夫をする方が得策です。
○今の年収ではなく先の収入を想定する
今の給与水準で年収が仮に600万円を超えているとします。一般的な指標としては申し分ないですが、これから5年先、10年先の自分がどうなっているか、も想定しながらローン返済計画を立てるべきです。もしかしたら、ボーナス支給が無くなっているかもしれません。急に会社が倒産することも考えられます。その事態に陥ってから慌てると、念願のマイホームが、生活自体を脅かす大きな負債となってしまいます。
未来を想定するのは難しいですが、「もしこうなったら」という発想を忘れずに、現実味ある資金計画に向き合う事が大切です。
マイホーム購入金額と年収の関係は、住宅ローン完済まで絶えず続いて行きます。もし、自己資金で頭金を準備できるなら、余分な金利を払わずに済みますし、理想の住宅もより近くなるかもしれません。
常に先の見通しと返済計画を考えて、自分にとって購入可能なマイホーム額と向き合いましょう。
【著 者 長 岡 利 和】