給与所得者でない人の確定申告と住宅ローン

毎月月給を支給される・年俸制で年間所得が決まる従業員や会社員は、源泉徴収票を発行されて、納税も会社の年末調整で完結する場合が多いでしょう。
しかし、フリーランスや自営業者の人は、毎月・毎年の収入が業績により異なります。
年間所得を申告する為に、確定申告書を税務署に提出することが義務付けられていますが、この自営業を営む人の住宅ローン審査と、申告の際の注意点についてお話しします。

○住宅ローンの審査ポイント

各金融機関が、金融商品の一環として取り扱っている住宅ローンは、長期にわたって貸し出す高額な資金の準備を本人に変わって行う事が前提です。
継続的に収入があるか、また返済能力がその人に有るかどうかが最大の審査ポイントとなります。
●事業主の収入は事業主次第
サラリーマンであれば、会社がその企業の業績にともない、また個人との雇用契約を結んで給与を支給することが確約されています。従業員は給与を受け取る立場なので、継続して収入を得る点では全く問題が無く、また労働保険や雇用保険によって、万が一の場合の備えも約束されています。
しかし、事業主は、経営責任の全てを追い、売上をあげて利益を出さねばなりません。住宅ローンで資金を借り受ける20年~35年の間には、時代の流れや個人の事情によって、その業が途絶えてしまう可能性があります。売り上げが上がらず利益が出ない場合は、継続的収入が途絶えてしまうという事を意味します。
そのため、住宅ローン融資を行うかどうか審査する際には、サラリーマンよりも条件が厳しくなるのは必然です。

○事業開始と経過を確認するための確定申告

自営業者は、青色申告・白色申告のいずれかの方法で税務申告書を作成した経験があることでしょう。売上と報酬、仕入を換算して利益を計上しますが、併せてかかる費用も参入し、事業主自らが経理上の調整を自分でコントロールすることが出来るポジションにあります。
収入と所得に対しての信用は、確定申告書のみです。事業主は送付やインターネットなどの方法で確定申告を行いますが、住宅ローンの融資申し込みをする予定がある場合は、税務署が確定申告書類を間違いなく受け取った証拠として、受領印の押された控えをきちんと受け取っておきましょう。これが自営業者の収入証明書そのものとなります。
税務申告書類には、開業年度と申告年度が記載されています。住宅ローンの申し込みを行うなら、継続的に収益をあげていることを証明する必要があるので、一般的には3年以上継続して確定申告を経験してから後に、ローン審査を申し込むのが良いとされています。

○収入を確認する為の確定申告

自営業者は、自身の営業活動で売上と仕入れ、掛かる費用について裁量の全てを握っています。売上はそこそこで経費割合が高い確定申告書は、さまざまなローンやクレジットカード審査が不利になります。
外部に経営状態をどう判断されるか、これを考慮した仕分けと収益コントロールを行うのがセオリーです。

○まとめ

自営業者は、収入や所得額がその年々で変動する為、安定して給与所得のある会社員と比べて住宅ローン審査が厳しくなります。
経営者が行う節税対策としては、費用や減価償却の割合を高くして収益が少ないほうが有利ですが、住宅ローンなどの借入を行う際は、収益率が低い申告書では融資が難しくなります。
健全な経営と、きちんと所得に回せるだけの収益をあげていること。住宅ローン審査をクリアする為の高いハードルを越えるために、自営業者は確定申告で示す必要があります。

【著  者  長 岡  利 和】


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