資産価値とはどう見るべきか 将来への価値の見通し

土地建物などの不動産は、賃貸が良いのか購入して資産にするのが良いのか・・・。特にファミリー世帯で問題となるのが住まい方の選択でしょう。
賃貸ならば資産に掛かる税金が不要ですし、毎月固定の住居費を支出することで家計の計画が立てやすくなります。
とかく、賃借物件を生涯の住みかとして選択した人の多くがいうのは「土地建物は資産ではなく負債だ」。です。土地はその時々の景気や経済状況によって変動しますし、住宅などの建物は資産価値が下がるのが早く、その価値割合と比べて価格が高いというのが理由でしょう。

○住宅資産価値の現状

●木造住宅の場合
日本で多くたてられてきた住宅は、日本古来の木造建築と呼ばれるスタイルで知られるように、日本の四季に合わせ、また梅雨時の湿気を上手く逃がしながら通気性の良い建物が主流でした。
そして、構造が木材・屋根瓦・土間のように、高層建築に向かない天然の腐食や老朽が早い建材を使用していたこともあり、日本建築の耐用年数はおおむね20~30年で0になってしまうというのが一般的な考えでした。
事実、建物の固定資産評価は、木造合成樹脂造住宅の場合22年、木造モルタル造では20年です。(引用:国税庁ホームページ https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34354.php)
建物に関する法的な観点から見ても、その使用可否に関わらず、木造住宅の耐用年数は20年程度とされています。
●鉄筋コンクリート造の場合
鉄筋コンクリート造の住宅は、近年頻発する地震に対して強固で安全だとして注目を集めていますが、一般的な鉄筋住宅の代表例はマンション等の集合住宅です。
鉄筋コンクリート造の建物の耐用年数は47年と長めになっています。(引用:同ホームページ)木造と比較すると、一見長持ちする家としての見解が表れているように見受けられますがしかし、実際の資産価値評価とここでも大きくかけ離れています。
現実に、中古マンションの販売価格は築年数10年を超えた時点で大幅に下落するのが市場一般論となりつつあります。

○資産価値の高まる物件を

住宅そのものの価値は、建物の耐久性と用途、使用程度によってのみ決定するものではありません。
住宅のある住まい環境に、市場の中での資産価値を高める要因があるのです。
●利便性の高さが資産価値になる
毎日の生活が、ただ住宅の中で淡々と行われているのであれば、住宅そのものの価値のみが評価になります。しかし、生活をしていくことを考えればむしろ、家の周りにある環境によって生活の質が左右されます。
例えば移動手段では、駅に近い・バスの便数が多い・市街地までのアクセスがスムーズ、と言った条件はその建物のプラス評価として働くでしょう。
また、周辺施設の中でも、日用品の買い物ができる施設や商店街の有無、病院施設や小中学校、公園などの緑化環境が整っていると、そのエリアは「生活をしやすい地域」として好評価に繋がります。
仮に全く同条件の住宅が、生活をしやすい地域とそれ以外の地域にあった場合、資産価値の高さは、当然利便性の高い方に軍配が上がるでしょう。

住宅の程度だけが、その家の価値とはなりません。住宅そのものの程度に、周辺地域の利便性をくわえて資産価値をみましょう。
住宅購入を考えている人は、後に価値の高まりを想定できる家を取得しておくほうが得策です。売却を考えている人は、今住居のある場所のメリットは何か、また近い将来に開発等の居住環境が変わる好要素が無いかを調べて売却価格を検討しましょう。

【著  者   長 岡  利 和】


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