住宅購入を考えるとき、頼りになるのは不動産業者ですが、数ある物件の中で自分の家族が理想とする住まいに出会ったとき、購入の意思を示す意味も込めて、手付金を納めることを求められる場合があります。新築住宅の購入申し込みや、分譲マンションの仮押さえなど、扱う商品の金額が高いこともあり、購入したいという気持ちを、何等かの内金を入れることで確約させるという行為は、不動産を扱うシーンでは珍しくありません。
○購入物件を決めたら
物件を見て回り、住宅の新築や中古物件を購入しますという意思表示をするために、申込金を支払うことが往々にあります。分譲マンションでは、一戸10万円程度、また中古住宅の購入の場合も同じく5万から10万円ほどの申込金を準備するように案内されることがあります。新築の場合は、各ローンの申し込み審査や、購入プランの見積もり段階で意思表示から購入確約を契約書によって確認できるため、申込金が必要なメーカーと不要のメーカーがあるようです。
○申込金の意味と役割
新築住宅の場合は申込金そのものに大きな意味はありません。特に、申込金を預けたかどうかが肝となるのは中古住宅や分譲マンションの仮押さえです。申込金の受理がされた時点で、優先的に気に入った物件を他のお客に横取りされる心配はなくなります。ただし、申込金を納めたからといって、長らく購入までの時間をかけることはできません。効力が発生する期間にも定めがあり、その期間を超えるといったん申込金は返還され、仮押さえも無効になります。
○手付金と申込金
手付金とは、購入を決めてから不動産売買契約を結ぶときに支払います。法律上、手付金の額は購入価格の20%を上限とすることとなっています。しかし、実際に物件価格の20%となると額が大きくなるため、一般的には5%程度とすることが多いようです。手付金は内金という意味合いが強く、物件の引き渡しを受けるときには支払い(購入)代金の一部として充当されます。
●手付流しとは
新築住宅の売買契約を締結した後に、購入者の都合によって契約を解除するときは、納入した手付は放棄して契約を白紙にすることができます。これを「手付流し」と呼びます。反対に、販売業者や施工業者側から契約の解除を申し出る際は、納めた手付金の倍額を購入希望者に支払って、契約解除をすることが認められています。
○手付に関する契約条項を確認
手付金の額を低めに設定しながらも、契約書内に「契約解除をする場合は違約金として物件価格の●%を支払う」等の文言がある場合は、実際に契約解除をするときに、条項にのっとって履行せねばならなくなります。違約金の金額が太いために支払いができず、契約解除できなかったという事態にならないように、購入意思が固まっている場合でも必ず契約書を熟読してサイン、押印するように気を付けましょう。
【著 者 長 岡 利 和】