賃貸アパートやマンション、戸建を借りる時、「家賃をこのくらいで抑えたいけど住みたいのはあの物件」というジレンマを感じて、ゆくゆくは希望の物件を諦めるということを繰り返しながら決定していくものです。賃貸物件は、新築分譲や中古販売物件などの譲渡物件と違い、借りるための月家賃を交渉できないと思い込んでいる人が非常に多いです。実は、意外と簡単に家賃交渉に応じてくれる場合があるのです。ただし、全ての物件が当たり前に家賃交渉可という訳ではなく、相談する不動産会社の規模やマニュアル、裁量にも関わるので、一部のケースとして参考にしてください。
○賃貸不動産で家賃交渉がしやすいのは
賃貸物件は、家賃収入があってこそ理想的な経営を継続させることができます。大家さん側の気持ちとしては「空き家の期間が長いと全体の家賃相場が下がる」「一室あくだけでも痛手」です。タイミングと家賃交渉額のバランスを上手く取れていれば交渉成立という場合もあります。
●空き室が3ヶ月以上続いている
賃貸経営をしている大家さんは、毎月の固定家賃収入から物件の返済と修繕費・税金・所経費を積み立ててねん出しています。複数戸ある建物の一室なら空室が続いても大丈夫・・・というのは素人考えで、実は全室入居者がいて、初めて健全な経営ができる状態の大家がほとんどです。そこで、一室でも空きが出ると、大家サイドとしては「何とか早く入居者が決まってほしい」というのが当然の心理。仮に50,000円の家賃としても、3ヶ月空けば15万円の損失です。数千円安くしてでも借りる人を探してほしい、というのが大家の願いでしょう。周囲に競合する物件が多く立ち並ぶエリアならなおさらです。
●申し込み時期によって家賃交渉も実現する?
賃貸不動産を扱う企業は、年明け1月から4月にかけての期間が一年のうちでもっとも契約が多い繁忙期です。次に夏休みシーズン(7月~8月)は、秋の転勤移動の内示が出るころで、また前後期で実施する大学に通う学生が多い地域は契約件数が伸びるシーズンです。この期間以外を狙って引っ越しを考えると、通常なら到底不可能だと思われている家賃交渉に、少しばかりの融通をきいてもらえるかもしれません。
○理想的な交渉のタイミング
始めからやみくもに引き下げ交渉をもちだすと、紹介する側としても警戒してしまいます。提案する物件を快く提示できなくなってしまいますので、家賃交渉は「ほぼ決まった」というタイミングで行うのが理想的です。効果的なのは、全ての書類をそろえて入居審査が完了した時でしょう。借りることは分かっているのですから、後はどれだけ家賃をお得にすることができるかという交渉になります。好みの物件家賃が少し高いと感じたら、まずは柔らかく家賃交渉の話を持ち出してみて反応を見ると良いでしょう。ただし、メールや電話での交渉はNGです。不動産会社の営業窓口担当者と顔を合わせて家賃交渉するのが賢明です。家主や物件仲介担当者にきちんと話を通して、実際に交渉がなされているかをその場で(目で)確認するということが重要なのです。(他の連絡方法での返答時、中には交渉不可だと言い張って何も動いていない不動産会社担当もいるかもしれません)。
【著 者 長 岡 利 和】