消費税が8%から10%に増税されるという決定が国会でなされて以後、法案施行の先送りを繰り返しています。日本は不景気が続き、経済政策の効果も思うように上がらないほど、ひと時代前と比較にならないくらいに消費が冷え込んでいます。そんな中、増税の話題が出ると不動産業界や住宅メーカーがにぎわう現象は、これまでの増税タイミングで何度かニュースや話題で見聞きしたことがあるのではないでしょうか。マイホームは憧れであるものの、簡単に購入を決められる程手軽な買い物ではありません。人生を掛けた買い物と言っても過言では無いほどの購入代金を支払い続けることに、不安を感じる人も多いはずです。しかし、増税となれば話は別。仮に2パーセントの増税が施行されたとすると、数千万円の購入代金に対する2パーセントで数十万円単位の差が生じます。これが長く返済していく住宅ローンの総額にプラスされるので、返済期間中の金利によってはトータルで百万単位の差となりかねません。
○中古住宅という選択
マイホームは新築がいい、と思われがちですが、住宅は購入した途端にその価値がおよそ2割程度下がります。頭金を2割程度準備しておいた方がいいと一般的にいわれる理由のうちの一つが、この価値の目減りです。現在の住宅市場では、20年経てば建物価値がほぼ0になることもあります。上手に物件を探して、マイホームをどのように維持していくかによって、住居費が大きく違ってくるのです。
●固定費を減らして不安解消
住居費は、生活を営む上では一度購入すると節約することが難しい固定費です。長く住まう事を考えて、快適で設備の整った高額住宅に目がいく気持ちもわかります。しかし、長期にわたって支払いを続ける固定費を増やさずに抑えたいならば、分不相応の高額新築住宅に手を出さず、中古住宅という選択を視野に入れてみることをおススメします。
○賃貸から購入へ 住居費のシフトタイミング
いつかマイホームを購入しようと貯金に励んでいる家庭も多いでしょう。住宅を購入しようと考える場合、頭金がいくらあれば十分かを具体的に試算してみることで不安も軽減されます。
●金利の低いいまだからこそ
マイホーム貯金がいくらになれば住宅を購入できるか。これはもちろん購入する住宅の価格によって違ってきます。しかし、一般的に購入代金の2割程度が準備できれば、その後の生活や返済に不安なく、また上手にローン返済に活かすことができると言われています。実際に試算してみましょう。
●購入代金を想定して不安解消
例えば中古住宅3000万円の物件をローン契約当初10年固定金利0.85%で30年掛けて返済していくと仮定します。更に今の低金利から大幅に金利が上昇したと仮定して11年目以後4%(実際にはこれほど上昇することはないかもしれませんが、大きく見積もって)金利に移行した場合、頭金なしで購入すると月返済額は94500円程で、11年目以降12万6000円程度。頭金2割の600万円で購入すると月返済額が75000円程、11年目以降10万1000円程度となります。頭金0の場合と比べて、ある程度まとまった金額を準備していると金利が更に引き下げられるなど、有利な条件でローンを組める金融機関商品もあります。また、固定期間終了後は、金融機関の他の商品や取引を組み合わせて金利を押さえるプラン等もあるので、上手に活用しましょう。
○まとめ
住居費はローン返済を続ける固定費です。固定費が高いと生活にゆとりがなく、不安も増大します。住居費を抑えるために、前向きに検討したいのが中古住宅、そして頭金との割合です。現実的な試算をして、生活と住宅購入にたいする不安を解消しましょう。
【著 者 長 岡 利 和】