新しく生活をスタートさせるため、新居の購入を検討する際には、戸建てにするかそれともマンションにするかというのは悩ましいところでしょう。マンションはセキュリティ面や、利便性の高いところに建設される傾向が強いことから、市街地周辺での生活にあこがれる家族にとても人気があります。しかし、マンションは購入や手続きの際に何かとトラブルを生じがち。購入した後に「こんなはずじゃなかった」という事態も多いものです。戸建て購入のシーンと比較しながら、戸建て住宅購入のメリットを考えてみましょう。
○所有にかかわる権利
自らの名義で土地と建物を所有することが前提(一部借地権などもありますが)となる戸建ての場合、あらかじめその土地の登記を調べて購入を検討する人が多いでしょうが、マンションの権利関係は、物件によって非常に複雑な場合があります。
●集合住宅と敷地権
マンションは専有部分のみ、建物の登記をすればそれで所有権利関係の手続きが完了すると思っている人が非常に多いようです。敷地権には登記の手続きが必要になります。往々にしてマンションの営業担当者の中には、いまだに建物だけの登記で問題ないという人もいるようです。敷地権付きのマンションであれば、土地と建物の登記は一体になっています。しかし、敷地権のないマンションの場合は、土地と建物にそれぞれ登記が必要になることに気をつけねばなりません。特に中古マンションの場合は敷地権形態のない物件が多くあります。敷地権がなければ、土地登記が必要で、登記がなければのちに売却できなくなります。
●マンション管理組合の役
マンションを購入すると、その所有者は必然的にマンション管理組合員となります。集合住宅ゆえに、修繕や改修のための積立、管理のための議決を組合で円滑に行うのがその目的です。日々の生活と将来への不安解消のため、管理組合の必要性は十分に理解していたとしても、組合員である以上、何かしらの役をせねばならない時が来ます。そして、所有するマンション専有部分の面積割合に応じて議決権が決まるため、総会や定期会合のときに、議題をまとめる際も問題でもめるということがしばしば。ゆくゆくはご近所トラブルの原因ともなりかねません。
○戸建てなら他の家族と完全分離
アパートやマンションでの生活で、最も大きな難点は、他の家族と隣り合わせで生活をするということでしょう。普段の何気ない生活音や、生活サイクルの違い、ペットの鳴き声など、自分の家族が出す音や動きには寛容ですが、他人がしている行動となると敏感になってしまうものです。庭を挟んで、完全に世帯の生活が別々に保たれる戸建てであれば、同じ時間を毎日家の中で過ごしていてもストレスになることはありません。とはいっても、外に聞こえるような大きな騒音やペットの鳴き声こそトラブルを引き起こす要因ですので、一定の注意をもって生活することは必要です。
【著 者 長 岡 利 和】