一戸建て住宅の寿命は、おおよそ30年程度と言われていますが、ご近所の住宅を一見しても、30年以上形を変えずに存続し、そこに住まい続けているという事例は珍しいことではありません。実際に、この30年程度という数字も目安としてのものであり、耐用年数やメンテナンス時期との関係では、20年という期間もキーワードとなります。
○戸建の寿命 耐用年数
一戸建て住宅で木造建築物の場合、税制的に判断する材料として耐用年数というものがあります。これは、対象不動産の価値を算出するための指標となるもので、一律に事業用建造物に対して定められているものです。居住用に供する不動産建造物の場合は、この耐用年数に1.5を乗じるという通例がありますが、広く知られている木造建造物の耐用年数は20年~22年です。鉄筋コンクリート造になると47年ですが、コンクリート造の大型建築物(学校や公民館、ビル、マンションなど)は50年以上存続しているものがほとんどではないでしょうか。
○建物の寿命を長くするには
一戸建てのマイホームに住んでいる人や、マンション住まいの人も同様に、「頑張って住宅ローンを払っているし、出来るだけ長く住み続けたい」と思うのは当然です。一昔前の木造建築物は、大工仕事と言われる職人の仕事が功を奏し、頑丈なものが非常に多かったと言います。構造がしっかりしている昔の建物は、白アリ被害など構造部分のメンテナンスを施していれば、100年は持つともいわれるほど、構造と素材に妥協せず良い仕事をしていたのが長持ちの秘訣でしょう。
●家そのものを最適な状態にキープ 寿命を延ばす
住宅は、人が住まい続けることこそが寿命を延ばす最大の特効薬です。使っていない住宅のほうがきれいに保てるという考えを元にして中古住宅などを選ぶと、その家は思わぬ欠陥を生じているかもしれません。家に人が集い生活すると、自然と風が通ります。この換気や通気は戸建を長持ちさせる効果が非常に高いのです。
●こまめなメンテナンス
住宅は外観から想像すると非常に丈夫そうで、簡単には崩れたり古びたりする印象は薄いでしょう。しかし、戸建住宅は人が住まなくなる以上に、こまめなメンテナンスを怠るとあっという間に寿命を縮めてしまいます。特に水周りは湿気も多く、キッチンや浴室、トイレや洗面台は日常的に無くてはならない住宅設備ですね。使用頻度も多くなる分傷みが激しくなります。よって、これらの設備は早く消耗し、傷んでいる部分をこまめに取り換えることが大切です。一般に水周りのメンテナンスは築年数5年~10年の間に始めておくと、メンテナンスが少額で済む上に短期間で補修が完了します。大がかりな設備の入れ替えや清掃を要する外壁 や配管工事部分、屋根の吹き替えもあわせて15年程度の間隔で重要部分のメンテナンスを行い、不具合はすぐに修繕するほうが、戸建を長く良い状態で保つことができます。