どんな家に住みたいか。どんな設備があれば生活が楽しくなるか。建てる前のプランニングの時期が家づくりの一番楽しい、また一番悩ましい時期です。
理想の家を追い求めると、いくら資金があっても足りません。また、家族それぞれがマイホームに対して何かしらのあこがれや理想をもつことになるので、そのすり合わせと折り合いのつけどころは、本当に難しいでしょう。
家の形を思い描くのは、まず「自分たちの年収に見合ったマイホームはどのくらいの購入予算になるか」を自覚してからにしておきましょう。
一度おもいえがいた理想から、引き算形式で妥協を繰り返すと、マイホームをもつ楽しみが大幅に減少してしまいます。
一番に返済可能な住宅資金をきちんと理解することが、現実的に家づくりを考えるきっかけにもなります。
○まずは返済上限額を計算
なにはさておき、賃貸物件の家賃に相当する部分=「月の返済額」を算出します。これは家賃の支払い可能な計算と同様ですが、子どもがいるうちでは教育費等の負担もあるため、返済金額は年収のうち25%としておきましょう。子どもがいない夫婦の場合は30%を目安にしておきます。そして12ヶ月で案分するとひと月の返済上限が分かります。
○住宅の維持費用も貯金を
細かな出費は恒常的に発生することがあるかもしれませんが、床のメンテナンスや住宅設備の老朽は、数年後に必ず起こるという事はわかっています。特に屋根のふき直しや外壁塗料の塗り直しは、一件丸ごと依頼をすると100万円前後の費用がかかります。
これを、その時々のやりくりで支出することは難しいですね。
マイホームを長く美しく保つため、いつか訪れる修繕の時の備えとして修繕費は貯金しておくことをお勧めします。
試算方法としては、一ヶ月の返済上限額から、12,000円程度を維持費用として別建てして貯金します。そして、残った金額が、毎月リアルに返済が可能な返済額となります。
○借りる予算はいくらが妥当か
リアルな月の返済額を計算したところで、申し込みを行う住宅ローン金利でもし100万円借りた時の返済額を試算してみてください。
「リアル返済額÷(100万円当たりの返済額)×100万円」という式で、借り入れ可能な金額予算が算出できます。
○自己資金をどこまで足せるか
住宅ローンの他に、資金となるには、自分たちの預貯金や援助があるでしょう。ただ、自己資金は全額丸々住宅費に充てては、万が一の備えが必要な場合に対処できません。ですから自己資金は預金の全額ではなく、3~6ヶ月程は生活費として使用できる金額を指し引いて計算するとよいでしょう。
これで大まかではありますが、理想の家に対する住居費がぼんやりと算出できます。
【著 者 長 岡 利 和】