戸建の中古住宅が、近年多く取引されています。リノベーションを施して思い通りの空間を実現しながら、中古住宅は販売価格そのものが新築より安く購入できるのが最大の魅力でしょう。また土地付き一戸建て不動産が多いという点にメリットを感じる若い世代を中心に、中古住宅市場がにぎわっています。
ただ、中古住宅は、それまで使用していた前オーナーの使用具合や、見えない住宅そのものの瑕疵が問題となって、修繕費が想像以上に掛かってしまったというトラブルも多いです。
戸建の修繕費と、中古住宅のチェックポイントを探ってみます。
○基本的なチェックポイント
中古の戸建を見学する際に、気を付けてみておきたいのが外壁の傷み具合です。
中古の物件は築10年が経過すると、大幅に住宅そのものの建物価値が下落するという不動産業界の傾向があります。適度な広さと土地の所有権まで付いている中古物件が、非常にお得に感じられるような販売価格で出回っているのはそのためです。
しかし、建造物は10年が経過すると、その使用頻度や年数経過によって劣化や損傷が出てきます。この修繕があらかじめ施している物件であれば、住まい始めて一定期間はノーメンテナンスで過ごすことができるでしょう。
しかし、先の所有者が何のメンテナンスも行わないまま物件売却の仲介を依頼した場合、現状渡しが条件であれば、住まい始めて近い将来に色々な箇所で不具合を生じ、修繕費が積もっていくことも考えられます。
先の所有者がどの程度戸建へのメンテナンスを行っていたかを計るには、外壁の傷みを確認するのが最も早いでしょう。屋根と外壁は、戸建のメンテナンスの中で最後に行われる大がかりな修繕です。屋根や外壁のメンテナンス記録があれば、内装や設備に相応のメンテナンスが行われている可能性が高いでしょう。
○外観で確認できる 戸建の強度
中古物件の見学を行う時は、その物件が築年程度経過しているかをきちんと把握しておき、そのうえで開口部周辺をチェックします。
本来なら壁であるはずの部分に開けられた窓やサッシがあれば、その部分の強度が弱いためサッシの角部分にひびが入っていることが良くあります。
戸建に限らず開口部分には、強度を補うための補強工事が施されているはずですが、築年数が経過すると強度も弱まってしまいます。そのため、ひび割れという形で外に露呈してしまうのです。
また、サッシの隅や天井に雨洩りやシミがないかを、きっちりと確認しましょう。雨洩りはどこから入ってどこへ抜けるか確認するのが難しい現象です。雨漏りが長くなると、構造部分に水分が到達してしまい、木造箇所の腐食が進むことで、建物全体の強度が下がります。
最悪の場合には白アリ被害が及んでいる可能性もあるので、重要事項説明書や瑕疵担保責任の内容をきちんと見ておく必要がありそうです。
住宅の状態を表す書類は、不明な所をたずねながらでも納得がいく説明を受けることが重要です。特に瑕疵担保責任は、事前に必ず確認するようにしましょう。
【著 者 長岡 利和】