近年は、超低金利時代と言われていることもあり、新築住宅を購入する若者世代や、退職時期に絡めて建て替えを行うリタイア世代が、住宅市場の購入に占める割合を底上げしている傾向があります。
賃貸物件と違い、固定資産を所有するこという事は、その家の環境や設備を整え、快適な生活を自分たちでプランニングして実現することができるというのが大きなメリットです。
設備を整えて丈夫で長持ちする住宅に対しては、国があらゆる税金の優遇や減額を行っています。予算の都合上、申請期限のある時限法減税も多いため、申請時期や引き渡し時期に注意し、安全で安心な住まいを作りつつ税額を抑える方法を探ってみるのも良いでしょう。
○固定資産評価と安全設備
土地や住宅などの不動産を取得すれば、毎年その固定資産に対して課税される税金を納めねばなりません。固定資産税は、「評価額×1.4パーセント」が通例ですが、この乗率は市町村で決定して良いという法令の定めがあります。
1.4パーセントと聞けば、大して大きな税金ではないと感じるかもしれませんが、数千万円級の不動産住宅が元となり、その価値を算出した評価額に沿って乗じるため、住宅の固定資産税が数十万円程の額になることは想像できるでしょう。
●コストアップと評価アップ
住宅の評価は、おおむね図面で構造や階数、耐火物かどうかなどの条件をあらかじめ計算し、そこに他の住居設備が有効で価値を上昇させるものかどうか、簡単に現地調査が行われます。
耐火や耐震性能、二重サッシなどの省エネ設備が備わっている住宅に対しては、建物そのものの価値に加えて付加価値加算も発生します。もちろん、その設備を導入すれば、コストもアップします。
しかし、費用を抑えた制震構造を加えている住宅や、制震構造と免震構造を合わせたハイブリッド構造も存在します。
建物の強度を上げ、地震に備えた住宅は価値も上がり、固定資産税評価額も上昇しますが、安全性には変えられませんし、耐震設備は固定資産税の減額措置があります。
●中古住宅にも性能をアップする設備を
中古住宅を購入して、リフォームを行うついでに省エネ性能が高まるような設備を導入しようという人も多くいます。
新築住宅建築では当たり前になりつつある二重サッシも、中古住宅の場合はまだ備わっていない家が沢山あります。リフォームと合わせて二重サッシや複層ガラスなど断熱効果が高い建具は、住宅性能表示の対象となっているので、省エネ住宅への固定資産税額減額の特例を受けることができるでしょう。
○まとめ
新築住宅に限らず、中古住宅を購入した場合でも、リフォーム住宅や高性能設備を導入するための改修に対して固定資産税の減額措置を受けることができます。
コストアップにつながる要因ではありますが、快適さが増し、更に固定資産税が(認定や省エネなど条件によります)減額される場合があるので、元となる住宅選びや土地の選別は注意深く行うようにしましょう。
【著 者 長 岡 利 和】